西武の高橋光成が無傷の5連勝…「負けるまで切らない」“勝利のロン毛”はどこまで伸びる?
7回に4点を奪って勝負を決め、連敗を「2」で止めた前夜のソフトバンク戦に続くビッグイニング。2戦連続の2桁安打を放つなど、調子を上げてきた味方打線へ「本当に心強いし、感謝しています」と笑顔を浮かべた高橋は、自らの投球をこう振り返った。 「今日もちょっと立ち上がりに不安があったんですけど、何とかゼロで抑えて、粘り強く投げられました」 甲子園優勝投手の肩書きを引っさげ、前橋育英高からドラフト1位で入団して6年目を迎えた昨シーズン。序盤戦は不調に苦しみ、ファーム落ちも経験した高橋は夏場以降に安定感を増して初めて規定投球回数に到達。チームで最多となる8勝をあげた。 これまでは力任せに直球を投げ込み、打たれるとさらに熱くなって失点を重ねるパターンが目立った。先発投手はできるだけ長いイニングを投げてなんぼ、という責任感をより強めてきた過程で、試合を壊す悪癖が昨夏から消え始めたと判断した辻監督は、宮崎・南郷キャンプ最終日の2月21日に高橋を今シーズンの開幕投手に指名した。 大役を意気に感じた高橋は、オープン戦の最終登板だった3月19日の横浜DeNA戦で好感触をつかんだのを機に験担ぎを始めた。負け投手になるまで髪の毛を切らない――迎えた同26日のオリックスとの開幕戦は球界を代表する右腕、山本由伸の方が先にマウンドを降りた。8回途中まで3失点に抑える粘投で白星を手にした。 以来、高橋はカード頭となる毎週金曜日の先発マウンドを託されてきた。ローテーション的に楽天の涌井秀章ら各チームのエースと投げ合い、昨シーズンの最多勝に輝いたソフトバンクの右腕・石川柊太とは、すでに3度も顔を合わせている。 常に厳しい展開を強いられてきたここまでの9試合で、高橋は涌井、早川隆久の楽天勢と並ぶ5勝をあげてハーラーのトップに立っている。しかも、いまだ無傷というだけではない。自身に勝敗がつかなかった4試合でも、西武は1勝3分けの星を残している。つまりは高橋が投げれば負けない、という図式がチーム内に生まれている。 62回と3分の1を投げた投球回数は、山本の64回と3分の2に次ぐ2位。6イニング以上を投げて、なおかつ自責点を3点以内に抑えた先発投手に記録される「クオリティスタート」の回数も「8」に伸ばし、こちらもトップの石川と並んだ。 もっとも、直近の2試合では引き分けに終わり、高橋に勝ち星がつかなかった。辻発彦監督も5月における初白星を、下旬になってようやく高橋が手にした試合結果を喜びながら、日本ハム戦で見せたピッチングそのものには苦笑いを隠せなかった。 「いやぁ、わからないですね。今日のピッチングは本当に、僕にはよくわからないです。ピンチはあったんですけど、点差がついていたので、逆にちょっと気が抜けたところもあったかもしれないですね」