西武がソフトバンクに勝てなかったワケ
ヒット数はソフトバンクの6本を2つ上回った。相手打線が放てなかったホームランも4番・中村剛也がマークした。選んだ四球に至っては倍以上の「9」を数えた。それでも西武は1点差で競り負けて連敗を喫し、借金が今シーズン最多の「3」に膨らんだ。 本拠地メットライフドームで王者・ソフトバンクに5-6で敗れた19日の11回戦。試合時間が4時間を超えた総力戦の明暗は、ソフトバンクの「5」に対して実に「14」を数えた西武の残塁数、つまりは拙攻ぶりに反映されていた。 ソフトバンクのショート今宮健太、西武のサード中村のエラーで1点ずつを献上し合って迎えた2回。ドームを支配していた静寂を切り裂くように響きわたった、6番・山川穂高の怒気が込められた叫び声が残塁の山を築くプロローグになった。 ソフトバンクの先発右腕、松本裕樹が1-1から投じた144kmの直球が内角高目へ食い込んでくる。打ちにいった山川はよけられず、ボールを右手首あたりに食らって苦悶の表情を浮かべる。治療のためのベンチへ戻る刹那に「あーーーっ」と吠えた。 開幕直後に左太もも裏を肉離れした山川は、今月に入って復帰したばかりだった。再びけがで離脱するかもしれない――心のなかで頭をもたげた恐怖心や死球に対する怒りを、松本へ背を向けながら発した叫び声で必死に打ち消していたのだろう。 幸いにも大事に至らず、山川はそのまま一塁走者になった。しかし、続く呉念庭と愛斗が凡退してこの試合で最初の残塁が記録される。3回は一死一、二塁から3番・森友哉が見送り三振に倒れ、その間に三塁を狙った若林楽人も憤死した。 32試合ぶりの一発となる3号に「(2回に)タイムリーエラーしたので、打ててよかったです」と胸をなでおろした中村の同点弾が飛び出した4回は、さらに連打と四球で二死満塁と松本を攻め立てる。しかし、1番・若林が空振り三振に倒れた。 5回には拙守から一挙3点を勝ち越された。二死から2番・周東佑京が打ち返したゴロは、先発右腕の今井達也の守備範囲だった。しかし、グローブを差し出す動きがわずかに遅れて二塁への内野安打となり、すかさず二塁への盗塁を決められた。 フルカウントから3番・栗原陵矢が141kmのチェンジアップを打たされる。高いバウンドのセカンドゴロを呉が前進しながらキャッチするも一塁への送球がやや高く、山川がミットに当てながら後逸。まさかの展開で周東が勝ち越しのホームを踏んだ。