元詐欺師リーダーらが語る「闇バイト」大増殖のワケ。「ピュアな性格の人が多いからか指示に忠実に従ってしまう」
SNSや求人サイトなどでは、「スマホの機種変更を人に勧めるだけで10万円」とか「映画を見るだけで10万円」などの見るからに闇バイトだと思えるような怪しい募集も多い。なぜ今の若者は本当にこんな募集に引っかかってしまうのか? 前出の廣末登氏は、「若者の間に情報弱者が増えていることが問題だ」と言う。 「これは私の体験ですが、大学の大教室で講義しているときにその場の大学生全員に『新聞を読むか?』と聞いたところ、ひとりも手を挙げなかった。そこで『普段からネットニュースを見る人はいるか?』と聞いても、ひとりしか手を挙げなかったんです。大学生ですらこの現状ですから、そうでない若者の情報感度は推して知るべしです。 このように新聞に限らず、今の若者はニュースをまったく見ないことも珍しくありません。そのため、何年間も話題になって報道されている闇バイトという犯罪の、実行犯募集の仕方そのものを知らない人がいまだにいるんです。 だから彼らは、闇バイトの募集を見ると割のいいバイトだと思って飛びついてしまう。このような情報弱者の存在が、どれだけ闇バイトへの警鐘が鳴らされても応募者が減らない要因のひとつだと思います」 情報弱者の若者は具体的にどのように搾取されているのか? 前出のフナイム氏が語る。 「闇バイトの応募者にはお金に困っていて、かつ一気に大金を手に入れる『一発逆転』を狙っている人が多いです。そのような人たちは悪気なくバイトを探していて、ピュアな性格の人が多いからか、お金をいっぱいもらえると聞いたら上から出された指示に忠実に従ってしまう。 そしてこれはメディアがあまり報道していないことですが、闇バイトの実行犯たちはたいてい犯行前にリクルーターや裏にいる首謀者に『捕まったらこのように言えば大丈夫』という文言を教えられています。 これさえ言えば捕まっても刑が軽くなる、ヤバくなったら弁護士が守ってくれると彼らは思っているが、実際にはそんなことはなく罪はまったく軽くならない。 今、闇バイトで捕まっている人が頻繁に言う『怖かった』『脅された』というのはリクルーター側が用意した言い訳である可能性が高いと私は考えています。実際、私がリクルーターをしていたときには、実行犯にこのような入れ知恵をしていました。 甘い言葉に簡単にダマされてとかげの尻尾(しっぽ)切りに使われる人がいる以上、闇バイトを使った犯罪という割のいいビジネスがなくなることはないと思います」 たとえ一発逆転を狙っていても、甘い誘惑にダマされてはいけない。 ■身近に潜む闇バイトと距離を取るには