「親のうんちをチェックして健康状態の確認を」 色とカタチで何が分かる? 専門家が指南「タブー視はもうやめましょう」
もっとも便が出やすい姿勢は?
食べれば、出すことも考えなくてはいけない。 「高齢者はとくに便秘にならない工夫が必要です。うんちを出さないと、消化器系の働きが衰えます。食欲が落ち、体重が落ち、筋力も弱って転倒し、認知症が進む、マイナスのスパイラルにはまっていきます」 うんちが出やすくなるようにトイレ内の環境を整えることも必要だ。 「洋式の便座で排泄する場合、上体と腿の角度はほぼ90度になります。この姿勢は、実は出しにくい。個人差はありますが、もっとも出やすいのは35度。スキーのジャンプ競技で飛ぶ直前のイメージです」 日本の古典的な和式トイレで排泄していた時代は35度に近かった。 「かつての日本人は理想的なフォームで排泄していました。でも今は、和式はあまり見なくなっています。慣れない和式ですると、腰やひざを痛めるリスクがあるので、洋式トイレの足下に台を置いて角度をつけてはいかがでしょう。35度は難しいものの、そこに近づけることはできます。入院中でも、看護師の許可が得られるなら、いわゆる“マイ台”の持参を勧めています」 下剤の助けを得てのコントロールも。 「便秘のときに、薬の力で出すこともできます。家族やヘルパーの負担軽減のために排泄を規則正しくさせたり、2日に1度のペースになるように調整したり、ドクターに相談してみましょう。排泄のサイクルは病院側は分からないので、家族の側からリクエストするといいでしょう」 どんなうんちをするか、自分でうんちができるかどうか――それはどう生きるかということでもある。ただ排泄するだけでなく、自分の健康とどう向き合うのかを考えて行ってほしい。 神舘和典(こうだてかずのり) ライター。1962年東京都生まれ。雑誌および書籍編集者を経て現職。音楽をはじめ多くの分野で執筆。共著に『うんちの行方』、他の著者に『墓と葬式の見積りをとってみた』『不道徳ロック講座』(いずれも新潮新書)など。 「週刊新潮」2024年11月21日号 掲載
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