史上最大の宇宙望遠鏡で小惑星を探したらやっぱりすごかった、数10mの極小サイズも発見
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、地球防衛にも貢献、「ネイチャー」誌
ビッグバン直後に形成された銀河を観測したり、遠方の惑星を調査したり、太陽系内の衛星を細部まで観察したり。驚異的な能力を誇るNASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)だが、素晴らしくも意外な一面がまた明らかになった。2024年12月9日付けで学術誌「Nature」に掲載された研究によると、火星と木星の間に位置する太陽系の主小惑星帯で、これまで発見された中で最も小さい長さわずか数十メートルの小惑星も見つけられるという。 ギャラリー:科学者さえも息をのむ、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の画像9点 今回の研究は、太陽系が形成された過程の残骸である小惑星帯の理解を深める助けになる。将来の研究のために、これらの太陽系のタイムカプセルを発見するのは常に歓迎すべきことだ。 さらに、小惑星の地球への衝突を防ぐのにも役立つ。結局のところ、地球防衛では、危険な小惑星をなるべく早く見つけられるほうがいい。 だからといって、JWSTが突然小惑星探索専門になることはない。しかし、「地球の防衛において、JWSTが果たすべき役割があることは間違いありません」と、米ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所の惑星天文学者アンディ・リフキン氏は言う。なお、氏は今回の研究に関与していない。 JWSTは未発見の小惑星を発見するために設計されたものではない。むしろ、地球からはるか遠く離れた興味深い対象を観察するスナイパースコープのようなものだ。 「一般的な太陽系外惑星の研究者は小惑星には関心がありません」と、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の惑星科学者で、今回の研究の共同著者でもあるアルテム・ブルダノフ氏は言う。 遠く離れた銀河や惑星を研究している人々にとって、小惑星はたいてい厄介な存在でしかない。「天体物理学者たちが1800年代に調査に写真を使い始めて以来、小惑星がデータセットに写り込む問題に悩まされてきました。彼らはやがて小惑星を『空の害虫』と呼ぶようになりました」とリフキン氏は言う。 小惑星がブルダノフ氏のおこなっていた遠い宇宙の観測を邪魔し続けたため、氏と同僚らは、最先端の観測装置を用いて小惑星探索ができないかと考えた。その結果、JWSTが隠れた小惑星を発見するのに優れていることが偶然明らかになったわけだ。