史上最大の宇宙望遠鏡で小惑星を探したらやっぱりすごかった、数10mの極小サイズも発見
赤外線をとらえる望遠鏡が理想
地球の防衛の観点から最も重要な小惑星は、その軌道と地球の公転軌道が約4500万キロメートル以内に近づく可能性がある「地球近傍小惑星」だ。 長さが約140メートル以上あれば大都市を吹き飛ばせるが、それより小さくても大きな被害をもたらす可能性がある。わずか数十メートルの小惑星でさえ、空中で爆発して都市を壊滅させうる。厄介なことに、小惑星が小さいほど発見は難しい。 小惑星を探索する観測のほとんどでは、小惑星が反射する太陽の光を探す。しかし、その明るさは小惑星の大きさだけでなく反射率にも左右される。つまり、可視光は小惑星の大きさを決める最適な方法ではない。 理想は赤外線をとらえる望遠鏡での観測だ。「小惑星の多くは、赤外線だとはるかに明るく見えます」と、米マサチューセッツ工科大学の惑星科学者で、今回の研究の共同著者でもあるジュリアン・デ・ウィット氏は言う。 赤外線を使えば、大型の小惑星は必ず小型の小惑星より明るく輝く。つまり、赤外線のおかげで天文学者は小惑星の大きさをはるかに正確に把握できる。JWSTは非常に優れた赤外線観測能力を偶然もっていたため、デ・ウィット氏とブルダノフ氏は、JWSTを自身の研究に活用できないかと考えた。 そこで研究チームは、複数の画像を重ね合わせて光源を特定する方法を使い、ある方向を撮影した1万枚以上の既存のJWSTの画像を分析した。結果、主小惑星帯内で138個の新たな小惑星を発見した。長さは約600メートルから、数十メートルほどの極小サイズも含まれていた。 主小惑星帯で安定した軌道を持つ小惑星は脅威ではない。しかし、今回の研究は、JWSTが他の観測をおこなっていても、小型だが危険な小惑星を見つけられることを示している。そして、必要に応じてJWSTは他の観測所と連携し、これらの小惑星を追跡して地球へ向かう可能性があるかどうかを判断できる。