史上最大の宇宙望遠鏡で小惑星を探したらやっぱりすごかった、数10mの極小サイズも発見
小惑星の衝突から地球を守るために
ほとんどの場合、JWSTは遠く離れた宇宙の研究に忙しく従事している。 「小惑星に割く時間はあまり多くありません」と、スイスのベルン大学の惑星科学者で、今回の研究には関与していないサビーナ・ラデュカン氏は言う。「しかし、何か他のものを観測するだけで、別の何かを発見できるのを知るのは本当に素晴らしいことです」 JWSTで小惑星を発見できるのは、想定外の恩恵だ。しかも、他の望遠鏡では見逃してしまうかもしれない極小の小惑星を見つけられるのはありがたい。 しかし、より専門的な観測装置が間もなく登場する予定だ。NASAは今後10年以内に「地球近傍天体宇宙望遠鏡(NEOサーベイヤー)」という別の宇宙望遠鏡を打ち上げる計画を立てている。この望遠鏡には赤外線検出器が搭載され、小惑星探査専門の望遠鏡として機能する。 デ・ウィット氏は、JWSTがNEO衛星の役割を奪うことはないと強調している。また、JWSTが、すでに小惑星探索で成果を出している地上の観測所の役割を奪うこともない。 その中には、チリでほぼ完成している「べラ・ルービン天文台」も含まれている。この天文台には、運用開始後1年以内に数百万個の新たな小惑星を発見する予定の次世代型可視光望遠鏡がある。 「JWSTが他の観測所のミッションを侵害することはありえません」とデ・ウィット氏は言う。それでも、氏のチームの研究は、JWSTが地球の防衛に役立つ可能性を示唆している。 JWSTが同じ小惑星を複数の画像で捉えた場合、その軌道を特定できる。さらに、他の観測所の協力を得れば、その小惑星が主小惑星帯に属するものなのか、地球近傍小惑星になりつつあるものなのかも調べられる。 「もし実際に地球に衝突する可能性のある天体が見つかった場合、JWSTはその大きさや組成などに関する情報を早く得るための最良の手段の一つとなるでしょう」と、リフキン氏は言う。「これらの情報は、衝突を回避する計画を立てるために使えて、探査ミッションを設計する際に役立ちます」 地球に向かう小惑星の特性を把握することは、その小惑星の軌道を逸らすのが良いか、あるいは粉々に破壊するのが良いかを判断する上で、本当に重要だ。 最終的に、今回の研究は、JWSTが「本当に優れたツール」であり、誰もが予想していたよりもはるかに多くのことができることを強調している、とブルダノフ氏は言う。そして、潜在的に危険な小惑星から地球を守る際には、あらゆるツールが役立つのだ。
文=Robin George Andrews/訳=杉元拓斗