「ママ、大好き」…数時間後に校庭で倒れた娘、教師が知らなかった心停止のサイン 〝使われなかったAED〟を教訓に、小学生からできること #ニュースその後
小学生からできる救命教育
AEDの普及に取り組む日本AED財団などは「すべての国民がAEDを使え、救命処置が当たり前になる社会」をめざし、子どもの頃から救命教育を採り入れるよう提言を進めてきました。 現在、救命教育は中学・高校の学習指導要領に盛り込まれていますが、今年9月上旬、文部科学省へ小学校の学習指導要領にも導入するよう求めました。 AED財団専務理事で京都大の石見拓教授(蘇生科学)は、「国際的にも、できるだけ若いうちから救命教育をすることが推奨されている」と指摘します。 「119番通報やAEDが大切だということは4歳から理解でき、胸骨圧迫とAEDは10歳以上で十分できるため、義務教育で教えていこうという提言が国際蘇生連絡委員会から出されています」 AED財団の理事でもある元さいたま市教育長の桐淵さんは、「小学生には負担なのではないかという先生もいると思いますが、子ども1人にやらせるのではなく、大人も子どももみんなでやろうと教えてほしいのです。人を助ける行為を通じて命の大切さを学び、みんなが救命処置をできるように」と呼びかけます。 「人が倒れたときにどうすればよいか、大人も子どももみんなが知っている学校であれば、先生たちも安心して働くことができます」 提言の場に同席した寿子さんは、「誰かが倒れたとき、大声で助けを呼んだり、AEDを取りに行ったり、小学生にもできることがあります。小学生からくり返し救命教育を受けることで、救える命を救える安全な学校、安全な社会ができる」と期待を込めました。 明日香さんの事故から13年。さいたま市では、当時を知る管理職の多くは定年退職を迎えました。ASUKAモデルは浸透したものの、寿子さんは「慣れ」を懸念します。 「事故の風化が始まっているのも現状です。やけどをしたら冷やすように、人が倒れたら声をかける。そして、意識と呼吸があるかないか分からない、判断に迷ったときは、胸骨圧迫とAEDを『当たり前』にする。この私たちの想いを次の世代に伝えていきたいですし、明日香も応援してくれると思います」 ※この記事はwithnewsとYahoo!ニュースによる共同連携企画です。