なぜ森保監督はW杯予選最後のベトナム戦を「消化試合にしない」と明言したのか…久保建英や三笘薫らを先発抜擢方向
アジアでは2020年に予定されていたワールドカップ予選がすべて延期された。カタール大会に出場する32ヵ国がそろわないまま抽選会を迎える異例の状況の理由も、世界中のワールドカップ予選を延期させ続けたコロナ禍に行き着く。 だからこそ、依然として声を出しての応援はできないものの、入場者数の制限が撤廃され、埼玉スタジアムに最大6万人を迎え入れる準備ができているベトナム戦を、キャプテンのDF吉田麻也(33、サンプドリア)は心待ちにしてきた。 「日本は明らかにヨーロッパと違っている。スポーツ界だけでなくエンタメ界、飲食界とみんなが我慢しているなかで何とか少しでもいい方向に持ってきたい。そのためには誰かが突破口を開かなければいけないし、それはサッカーの日本代表だと思っている。僕たちにできるのはサッカーでひとつひとつ実績を残していって、政府関係者の気持ちを動かしていくこと。その扉をサッカーファミリーで開けていけたらと思っている」 吉田の脳裏に描かれているのは、選手たちが待ち焦がれてきた満員のスタジアムでの代表戦。競争を合言葉に森保ジャパンが新たなスタートを切り、抽選会を含めてカタール大会における可能性を広げ、コロナ禍で募らせてきた閉塞感にも風穴を開けるからこそ、グループBの最下位、ベトナムを迎えるアジア最終予選最終節は消化試合となりえない。 (文責・藤江直人/スポーツライター)