ミッション終了から2年 宇宙から撮影されたNASA火星探査機インサイトの今
InSightに塵を積もらせたのは火星の大気ですが、塵旋風のような強い風が吹けば、反対に太陽電池から塵を吹き払うことも考えられます。そのため、バッテリーが再充電される可能性を考慮して、NASAはミッション終了後もInSightからの通信に耳をそばだてていたといいます。しかし、ミッション終了からの2年間で変化が認められなかったことから、NASAは2024年末をもってInSightからの受信を終了する予定です。 ミッション中、発電能力に影響を及ぼす塵がInSightの太陽電池にどれくらい付着しているのかを予測する上で、InSight自身のカメラやMROのHiRISEで取得した画像が使われています。InSightのミッションはすでに終了していますが、MROによる今回の撮影はInSightとの別れを惜しみつつ、着陸地点周辺の変化をモニタリングするために行われました。 今回撮影された画像を見ると、周辺に塵旋風が通過した痕跡はみられるものの、InSightの機体左右に展開された2枚の太陽電池パドルは積もった塵のために火星の大地と同じ赤褐色に染まっています。また、着陸時のエンジン噴射で火星表面に生じた暗い環状の模様は、着陸から6年の間に少しずつ周囲と同じ色に戻りつつあります。 InSightとその着陸地点を観察することは、塵が火星表面を覆う速度を理解すること、さらにはクレーターが塵に覆われる速度をもとにクレーターの年齢を特定することにつながるということです。冒頭の画像は2024年12月16日付でNASAから公開されています。 Source NASA - NASA Mars Orbiter Spots Retired InSight Lander to Study Dust Movement
sorae編集部