なんと体重が「一瞬で激減」する場所があった! ところが「ダイエット」にはならないたった1つの理由
あっと驚く面白さ。誰でも理解できる爽快さ。 アメリカの大学で長く物理学の人気教授として活躍してきた山田克哉さんの「白熱講義」から生まれた、ブルーバックスを代表する人気企画「からくりシリーズ」。 そのシリーズ最新刊である『重力のからくり』がベストセラーとなっています。「弱すぎる重力」はなぜ、宇宙を支配する力になりえたのか? 万有引力のふしぎを徹底的に解き明かす同書の読みどころを厳選してお送りします! *本記事は、『重力のからくり――相対論と量子論はなぜ「相容れない」のか』の内容から、再編集・再構成してお送りします。
「質量」と「重さ」の違い
重力はその名のとおり「力」であり、力の単位はN(ニュートン)なので、重力の単位もNになります。 さらに、地上における重力の値は物体の「重さ」と同じなので、重さの単位もNです。すなわち、物体の重さの単位はキログラム(kg)ではありません。 これを実感していただくために、筆者の体の質量と重さ(体重)を考えてみましょう。 ここでは計算を簡単にするため、地球の重力加速度(9.8m/s²)を10m/s²として考えることにします(厳密性を欠くという意見もあるかもしれませんが、「重力とはなにか」という本質に迫るうえでは支障はありません)。 筆者の体の質量は67kgです。筆者の体の重さ(体重)は、前回の記事でも登場した次の式3より(67kg)×(10m/s²)=670Nとなります。式3重力=mɡ 単位はN(ニュートン) あらためて確認しておきますが、「質量」と「重さ」の違いは、前者が「単なる量」であるのに対し、後者が「ベクトル量」であることです。筆者の体の質量は「単なる量」にすぎませんが、筆者の体の重さ(体重)は地球が筆者の体を地球中心に向かって引っ張る力であり、はっきりとした方向をもつ「ベクトル量」です。 残念ながら、世界中の国々で重さの単位として「kg」が使われており、本来の単位であるN(ニュートン)は使われていません。日常的にはNが用いられないことが、「質量と重さの違い」をわかりづらくしている一因かもしれません。