パリで輝く日本人デザイナー:大森美希のランウェイデビューと教育への情熱
海外在住24年のファッションデザイナー、大森美希。服飾学校教員を経て渡仏し、バレンシアガ(BALENCIAGA)、ランバン(LANVIN)、ニナリッチ(NINA RICCI)という名だたるブランドを渡り歩き、ニューヨークではコーチ(COACH)のシニア・デザインディレクターを務めるなど、ジョブ型雇用でラグジュアリーブランドのデザイナーを歴任。 現在はパーソンズ・パリの修士課程アソシエイトディレクターを務めている。先日行われたPARIS FASHION WEEK Spring/Summer 2025の4日目、リック・オウエンス(Rick Owens)のショーではモデルを務めた。パリ公式ランウェイでのモデル出演は、大森さんの幼い頃の夢だったという。 そのショーの直後に取材の機会を得た。今回は、先日のランウェイでの経験や、教育者としての活動について話を伺っていく。
53歳日本人女性、リック・オウエンスのショーでモデルデビュー
ーショーの出演が決まったのはいつ頃だったのですか? ショーの前日に正式に決まりました。ファッションショーの準備は通常、4、5日前から始まります。その後、メゾンから依頼されたキャスティング会社が候補者を用意し、キャスティングと同時にスタイリストやコンサルタントと一緒にショーのスタイリングを行います。 選ばれたモデルは2、3日前からフィッティングを行います。最終的な判断が下されると、前日の夜遅くにコンファームのメールが来ます。 私の場合、そのメールは前日の夜11時前に届きました。 ーかなりぎりぎりなのですね。 準備はしておくようにと言われていましたが、正式に決まるまでは不安でした。夜遅くの連絡は業界では普通のことですが、それまではドキドキしていましたね。 ー実際に歩いてみていかがでしたか。 転ばないように気をつけることだけを考えていました。直前まで雨も降っていたので注意が必要でしたね。靴のサイズも大きかったのですが、それで歩くしかありませんでした。 ファッションウィークでのショーには20年ほど関わってきたので、全体の流れは理解していました。モデルとしては、これまで見てきたモデルたちの動きを参考にして、意外にも、それほど緊張はしませんでしたね。 今回のショーでは、リック・オウエンスがファッションやアートに携わる学生とその教師たちをキャスティングしたいという意図がありました。多様性の面では、ファッション業界は日本より20年ほど進んでいると感じます。今や多様性は単なるトレンドではなく、業界の標準になりつつあります。