パリで輝く日本人デザイナー:大森美希のランウェイデビューと教育への情熱
ーパーソンズ・パリでの講義内容について詳しく教えてください。
講義内容は主にデザインについて教えています。デザインのソースやインスピレーション、テーマを洋服というプロダクトに落とし込む過程、つまりデベロップメントのプロセスを教えています。意外とみんな知らないんです。 私の授業では、学生それぞれに課題を与え、個別に対応しています。一斉講義ではなく、学生一人一人の課題に合わせて指導しています。 2年間の修士課程で教えていますが、学生たちは世界各国のデザイン系大学で学士号を取得しています。しかし、デザインの展開方法については、ほとんどの人が分かっていません。この分野をきちんと教える先生が少ないのかもしれません。 パーソンズ・パリは国際色豊かで、フランス人学生はほとんどいません。英語で授業を行うため、世界中から学生が集まっています。さまざまなバックグラウンドを持つ学生たちに教えるのは大変ですが、やりがいがあります。
この教育方法は、日本とはまったく異なります。日本のファッション教育は洋裁技術を重視しますが、デザインの過程、特に実用性と創造性のバランスを取る部分が不足しているように感じます。 本当のデザイナーは、体の構造と機能を深く理解し、それに合わせて服を作ります。単に奇抜なデザインのものを作るだけでは不十分です。また、テーマの社会的背景や文化的意味、関連する音楽や映画、アートなどの知識を深く掘り下げることも重要です。 そのため、私の授業では徹底的なリサーチを求めています。服作りの構造も深く学んでほしいのですが、学生たちのパターンメーキングの知識はまだ浅いですね。 ー日本の学生が世界で活躍するためのアドバイスをするとしたら。 海外のファッション業界を目指す若い人たちには、一度は海外に来て、その雰囲気を味わってほしいですね。キャリアパスとしては、日本の専門学校から海外の大学に進学する方法や、逆に海外の学校から始める方法など、さまざまな選択肢があります。 重要なのは、海外と日本のファッション業界の違いを理解することです。実際に海外の業界に入り込むような経験が必要です。ワーキングホリデーを利用してコネクションを作る方法もありますが、とにかく積極的に行動することが大切です。 一方で、日本での経験も非常に価値があります。日本の洋裁技術やパターンメーキングの技術は海外でも高く評価されています。言葉が通じなくても、高い技術力があれば仕事を得ることができます。 結局のところ、日本人としての強みを生かしつつ、国際的な視野と経験を持つことが、グローバルなファッション業界で成功する鍵になるのではないでしょうか。