問われる巨人の見識と姿勢…なぜ新型コロナ抗体検査陽性の坂本、大城をPCR検査前に2日の西武戦に出場させたのか?
6月19日に決定した開幕に向けて練習試合が始まり、わずか2日で巨人から新型コロナウイルスの感染者が2人出るという衝撃の事件が起きた。しかも、坂本勇人(31)、大城卓三(27)の主力2人。巨人は、29日から31日にかけて希望者の抗体検査を実施したところ、坂本、大城ら陽性反応者が4人出たため、慎重を期すため、2日夕方にPCR検査を受けさせ3日に2人の陽性反応が確認されたものだ。3日の西武との練習試合(東京ドーム)は中止となったが、問題は2日の西武戦には“疑惑の状態“で、坂本、大城の2人がスタメン出場していたことだ。 抗体検査で検出された「IgG抗体」は、過去に感染し、すでに回復したことを示す抗体ではありNPBとJリーグが共同で立ち上げた「新型コロナウイルス対策連絡会議」の専門家も「他人に感染させるリスクは高くないと推察される」と、巨人を通じて見解を明らかにしているが、まだPCR検査を受けていない状況で2人を試合に出したのは大問題。また巨人は、2人を早期合流させたい考えを示したが、その妥当性も含め、球界のリーダーであるはずの巨人の見識と姿勢が問われる。
PCR検査結果は正常値ギリギリ「微陽性」
巨人は1、2、3軍の全首脳陣、選手、関係者のうち218人の抗体検査を29日から31日の間に実施した。希望者を募ったところ約220人中、218人の希望があったため、都内の大学医学部の研究に参加する形で希望者全員を採血して感染歴を調べる抗体検査を行った。結果、坂本、大城ら4人に陽性反応があった。 抗体には感染初期に作られる「IgM抗体」と過去に感染した痕跡である「IgG抗体」の2種類があるが、4人の抗体は「IgG抗体」だったという。 「IgG抗体」は、新型ではないコロナウイルスでも反応が出るため、発熱や味覚、嗅覚障害など新型コロナと疑われる症状がないのであれば、PCR検査の必要はないとされている。だが、巨人は、「専門家の指導の下、慎重を期すために都内の医療機関に協力を依頼し」2日の西武戦後に4人のPCR検査を実施した。 結果、坂本、大城に陽性反応が出たため、ただちに入院措置を取り、この日の試合中止を決定した。巨人の発表によると「微陽性」だという。筆者が無知なのかもしれないが、「偽陽性」については話題になったが、「微陽性」とは聞きなれない用語だ。 巨人の説明によると、「2人の新型コロナウイルス遺伝子量(CT値)は微量で、正常値ぎりぎりの『微陽性』にあたる上に、ともに回復を示す『IgG抗体』を持っていることから、専門家からは2人ともに感染から回復した後、かなりの時間がたっているとの見解を得ている」という。 問題は、たとえ感染リスクの低い「IgG抗体」であろうと、抗体検査で陽性反応が出た”疑惑の状態”でPCR検査の前に2人が2日の西武との練習試合に出場したことだろう。