問われる巨人の見識と姿勢…なぜ新型コロナ抗体検査陽性の坂本、大城をPCR検査前に2日の西武戦に出場させたのか?
現在、保健所が濃厚接触者の特定作業を急いでいるが、巨人は、「1メートル以内で15分以上会話をした者」を中心に26人をピックアップして、この日、PCR検査を実施。4日の午前中には、それ以外の1軍の監督、コーチ、選手、スタッフ全員のPCR検査を行う。 また対戦相手だった西武に対して保健所は「濃厚接触者はなし」との判断を示しているようで、西武は、2日の試合に出場した監督、コーチ、選手、関係者の抗体検査及びPCR検査の実施を行わない考えだが、今後、注意深く健康チェックを続けるという。 そして、巨人は、今後、坂本、大城に、連日、PCR検査を行い、陰性が確認でき次第、「早期にチーム合流を目指す」という方向性についても明らかにした。 巨人によると、2人は3月下旬以降、体調に何も問題なく、味覚嗅覚の異常も感じていない。検査から2週間前にさかのぼって2人の行動確認をしたところ、坂本は29日に昼食を友人と、大城は28日に2時間、夕食をチームメイト2人ととった以外には、外食も夜の外出もないという。 NPBが専門家チームの提言を受けて作成したガイドラインでは、感染者には、陰性反応後も、2週間の自宅待機措置を講じることを義務づけようとしているが、今回は、その措置はとられない。3月下旬に感染が判明した阪神の藤浪晋太郎、伊藤隼太、長坂拳弥の3人は、軽快後、48時間毎にPCR検査を実施し2回の陰性反応が出るまで退院が許可されず、退院後も2週間の自宅待機措置を取られた。だが、その後、厚労省の退院基準が2度、変更。5月29日には、「発症から14日以降で熱が下がるなど症状が軽くなってから72時間たった場合、PCR検査なしに退院」と緩和された。また今回、坂本、大城の2人は、発症症状を受けてのPCR検査ではなかったこともプラスされ「早期合流」の方向性が固められたようだが、感染リスクがゼロでない以上、この判断の妥当性についても議論は必要だろう。 また3日、4日に実施されるPCR検査の結果次第で陽性反応者がいない場合、チームは5日に東京ドームで予定されているヤクルトとの練習試合を行いたい方針だが、この判断も是非が問われる問題だ。 球界のリーダーである巨人は「開幕ありき」で物事を推し進めるのではなく、今後のスポーツ界のモデルケースとなるべく、より慎重に安全を担保できる方策を選択すべきではないか。