なぜ阪神は藤浪ら新型コロナ「陽性」を3人も出してしまったのか…露呈した危機管理の欠如
阪神が27日、藤浪晋太郎(25)、伊藤隼太(30)、長坂拳弥(25)の3人が新型コロナウイルスのPCR検査を受け陽性判定が確定したことを発表した。3人に、発熱、咳、倦怠感などの症状はないが、味覚、嗅覚の部分でまだ症状が残っているため入院措置が取られた。現時点では、3人以外の選手、チーム関係者、家族らに異常を訴える者は出ていない。 阪神の揚塩健治球団社長は同日、甲子園球場の室内練習場で新型コロナウイルスの感染拡大に配慮して、スポーツ紙、一般紙、放送の幹事だけに限った少人数の代表取材を受け、藤浪、伊藤、長坂らは14日に他選手4人を含む7人で知人宅を訪れ、球団関係者ではない外部の5人と計12人で会食したこと、藤浪が、今後、社会への啓蒙になればと、実名公表を申し出た事実などを明らかにした。 問題は14日に行われた12人の会食だろう。 週末の「外出自粛要請」を出した東京都は「密閉」「密集」「密接」の“3つの密“を避けることを都民に求めたが、この14日の会食は、まさに”3つの密“が重なった場所である。 藤浪、伊藤、長坂が感染したのが、この会食の場だったか、どうかについて揚塩社長は、「まだ確定も限定もしていない」とコメント。まだ感染経路も、この会食が”発生源”だったかどうかも判明していない。たとえ、この会食が無関係だったとしても、開幕の時期が確定せず、無観客試合が続いていた状況下で感染リスクが高いため、注意喚起されていた”3つの密”が成立する場所に出入りした行動自体が問題だ。 NPBとJリーグが合同で設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」で専門家チームがまとめた提言書でも「新型コロナウイルスの感染を促進する“3要因”」として(1)多くの方が集まる状況での濃厚接触 (手が届く範囲での交流)、(2)近距離での咳・くしゃみ、おしゃべり、発声、(3)換気の悪い密閉空間の3点を指摘していた。 会食が行われた知人宅の換気がどうだったかは定かではないが、結果的に提言書が注意している“3要因”にあたる場所に出入りしてしまったのだから、行動は自己責任とはいえ、球団の選手への啓発の徹底を含む危機管理体制が欠如していたと指摘されても仕方がない。 提言書では、選手、チーム関係者、家族への教育・啓発、意識改革が必要だとも強調されている。