生活が一変した…ロッチ・コカドが、43歳で「最高の趣味」を見つけられたワケ
生活が変わった
そんな「夢中になれるもの」と向き合う時間が増えたおかげで、コカド自身の生活にも変化が訪れる。 「本当に生活が変わりましたよ。ちょっとの時間があったらミシンをやっていますし、1日休みがあったら、(繊維街である)日暮里に行くところから始めます。今まで生活の中心がお笑いだけやったのが、半分(お笑い)半分(ミシン)になったことで、お笑いでも悩まなくなったんですよ。良い言い方かは分からないですけど、『スベってもミシンあるしな』って思えるようになりました(笑)」 生活に潤いが生まれたことで、心のデトックスにもつながった、というわけか。 「ミシンのことを考えているとワクワクするし、無駄なことを考える時間がなくなったし、人生が楽しくなりましたね。あと、ミシンがあることでいろんな欲も満たされるんですよ。例えば『あの服が欲しい』という欲もミシンがあれば解消できるし、『何かに集中して取り組みたい』という欲もミシンがあれば大丈夫。作業をしていると瞑想をしたように心が整理できてスッキリするんです」
「戻るところがある」という感覚
ミシンは、そうして仕事やプライベートにおける価値観やマインド面にも影響を与え、彼にとっても大きな支えとなっているようだ。コカドは10代の頃にも似た経験をしたと振り返る。 「高校1年生からお笑いを始めたんですけど、古着も大好きやったから、古着屋さんにもなりたいと思っていたんですよ。だから19歳の時に一度お笑いを中断して、古着屋で働き始めました。当時は、毎日楽しくて『1日が終わるのが嫌やけど、でも次の日起きたらまた行ける!』みたいな気持ちで過ごしていましたね。 その後、僕のなかで『古着屋で働けば幸せになれる』ということが分かったので、もう一度お笑いに戻って全力でやることができました。 今回のミシンも、そのときの感覚と似ているかもしれないです。僕の性格的に、『戻るところがある』、『これさえやっておけば幸せ』というものが分かっているのと分かっていないのとでは(心境的にも)まったく違うし、心の支えがあった方が何事にもぶつかっていける。もちろん、いま古着屋に戻ったとしても何か足りないと感じるかもしれないし、ミシンだけやっているわけにもいかないけど、その保険があるから、全力でお笑いに取り組めるんですよね」 当初は、何の欲もなく、人生の充実のためだけにやっていたミシンだが、結果的に仕事につながり、現在ではミシン芸人としてイベントの出席やメディア露出の他、自身初の著書となるソーイングBOOK『コカドとミシン』(ワニブックス/11月27日発売)の発売も決定。お笑い以外の仕事も好転している。