なぜ独走Vの川崎FからMVPが選出されなかったのか…ベストイレブンに史上最多9人選出も得点王の柏オルンガがゲット
今シーズンのJリーグで活躍した選手や監督、クラブ、審判などの功績を讃える恒例の年間表彰式、Jリーグアウォーズが22日夜にオンライン形式で開催され、MVPにあたる最優秀選手賞に28ゴールをあげて得点王を獲得した、柏レイソルのケニア代表FWオルンガが輝いた。 2位以下のチームの追随をまったく許さない、歴史的な独走劇でJ1リーグを制した川崎フロンターレからは、史上最多となる9人もの選手がベストイレブンに名前を連ねた。しかし、11人のなかから選出される最大の個人タイトル、最優秀選手賞には誰も手が届かなかった。 DAZN(ダ・ゾーン)などで動画配信された今年のJリーグアウォーズ。ハイライトへのプロローグとなるベストイレブンの発表は、まるで川崎の先発メンバー紹介のような光景と化した。 守護神チョン・ソンリョンに続いて、最終ラインの山根視来、ジェジエウ、谷口彰悟、登里享平、中盤の家長昭博、田中碧、守田英正、三笘薫と主力メンバーの名が9人連続で呼ばれたからだ。この時点で1994シーズンのヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)、2002シーズンのジュビロ磐田、そして2018シーズンの川崎の7人を超える、史上最多のベストイレブン輩出が決まった。 フォワード陣になって鹿島アントラーズのエヴェラウド、柏のオルンガと川崎以外の選手が初めて登場する。そして、村井満チェアマンが最優秀選手賞受賞者として、オルンガの名前を読み上げた。 同一チームから7人がベストイレブンに選出された過去の3回は順にDFペレイラ、FW高原直泰、2年前の家長とすべて王者から最優秀選手が選出されている。しかし、今回で28回目を迎えたJリーグアウォーズの歴史そのものを振り返ってみれば、約3分の1にあたる下記の9シーズンにおいて、最優秀選手賞受賞者が優勝チーム以外から選出されている。 【1995年】ドラガン・ストイコビッチ(名古屋グランパス)優勝:横浜マリノス【1998年】中山雅史(磐田)優勝:鹿島【1999年】アレックス(清水エスパルス)優勝:磐田【2000年】中村俊輔(マリノス)優勝:鹿島【2001年】藤田俊哉(磐田)優勝:鹿島【2003年】エメルソン(浦和レッズ)優勝:マリノス【2007年】ポンテ(浦和)優勝:鹿島【2013年】中村俊輔(マリノス)優勝:サンフレッチェ広島【2016年】中村憲剛(川崎)優勝:鹿島 オルンガは名だたるメンバーに続く、リーグ優勝チーム以外から選出された延べ10人目の最優秀選手となった。加えて、柏の今シーズンの順位である7位はこれまでで最も低かった、エメルソンが受賞した2003シーズンの浦和の年間総合6位をさらにひとつ下回っている。 対照的に史上最速となる、4試合を残して今シーズンのJ1リーグを制した川崎は勝利数26、勝ち点83ポイント、総得点88、得失点差プラス57、2位との勝ち点差18ポイントと、J1が年間34試合体制となった2005シーズン以降の最多記録をことごとく更新。最終的に「3」にとどめた負け数も歴代最少を更新するなど、異次元の独走劇に新記録ラッシュで花を添えた。