なぜ独走Vの川崎FからMVPが選出されなかったのか…ベストイレブンに史上最多9人選出も得点王の柏オルンガがゲット
Jリーグの歴史上で最強チーム、と言っても決して過言ではない今シーズンの川崎から最優秀選手が選ばれなかった理由を探る前に、ベストイレブンの選出方法を確認しておく必要がある。 まずは18を数えるJ1クラブの監督と、リーグ戦の半分にあたる17試合以上に出場したすべての選手が選者となって、それぞれが考えるベストイレブンを投票する。次にGK、DF、MF、FWの4つのポジションでトータルの投票数がそれぞれ上位だった選手のなかから、ベストイレブンへの最終ノミネートとなる優秀選手賞を贈る選手をチェアマンが選ぶ。 今シーズンのJリーグアウォーズではGKで4人、DFで9人、MFで13人、FWで7人の計33人が優秀選手賞を受賞した。その上で得票数順にGKとFWで1人ずつ、DFとMFで3人ずつの計8人が自動的にベストイレブンを受賞。残る3人のフィールドプレーヤーに関しては、チェアマンや各クラブの実行委員(代表取締役)ら23人で構成される選考委員会が投票で決める。 もっとも、DFおよびMFの4人目、そしてFWの2人目は、監督・選手による互選でそれぞれ4位と2位だった登里、田中、エヴェラウドがそのまま名前を連ねた。つまり、ベストイレブンに選出された全員が、今シーズンを戦ったチームの監督や選手から認められた精鋭たちとなる。 そして、ベストイレブンから最優秀選手を選ぶ際には、互選による投票結果をあくまでも参考としながら、選考委員による投票に委ねられる。実は互選では川崎のルーキー、三笘(筑波大卒)が238票を獲得し、オルンガの225票を上回って全体で堂々のトップに立っていた。 「素晴らしい選手たちが大勢いるなかですごく光栄なことですし、投票して下さった方々には感謝の思いでいっぱいです。MVPに関してはあまり意識していなかったというか、もちろん選ばれれば嬉しい気持ちはありましたけど、MVPはオルンガ選手がふさわしいと思っています」 ルーキーでの最優秀選手受賞という史上初の快挙を逃した三笘は、オンライン会見で爽やかな表情を浮かべながら、自分へ投票してくれた監督や選手に感謝した。歴代のルーキー最多記録に並ぶ13ゴールをあげ、リーグ1位の12アシスト、そして緩急を駆使したドリブル突破で対戦チームの脅威になり続けた東京五輪世代の23歳は、プロ1年目を振り返りながらこんな言葉をさらに紡いだ。 「最初のころは途中出場が多く、自分の価値をどんどん出していかなければいけなかった。アピールできなければ試合に出られないほど厳しい競争があるなかで、毎試合のように結果にこだわってきたことがだんだんと形になり、最後の方では先発する試合も増えてきたと思っています」