今日フィギュアFS!「急成長と安定感」鍵山優真と「4回転ジャンプ5本投入」宇野昌磨の逆転金メダルの可能性は?
昨春から千葉の「三井不動産アイスパーク船橋」に設立されたMFフィギュアスケートアカデミーのヘッドコーチに就任した中庭健介氏も、「宇野選手は、チェン選手と同じく、1本4回転が多いのが強み。ミスを続けず、しかも1個のミスを小さくすることが逆転優勝へのカギになると思います。点数を出せば、宇野選手の後で演技する鍵山選手、チェン選手へプレッシャーをかけることにもなります」という見方をしている。 2位につけている18歳の鍵山は、団体FSで今季世界最高の208.94点をマークした。この得点ではチェンにとうてい届かないが、ワシントンポストがわざわざ記事で取り上げるほどの急成長ぶりが、注目ポイントだ。 しかも、五輪用にFSのプログラムを変えて初挑戦となる4回転ループを投入。4回転サルコー、4回転ループ、4回転フリップ、3回転アクセル+3回転トゥループの連続ジャンプから、これまた初めてプログラムの後半に入れる4回転トゥループ+1回転オイラー+3回転サルコーの3連続ジャンプ、3回転フリップ+3回転ループ、3回転アクセルの構成となっている。団体戦では4回転ループに成功したが、着氷で乱れ、GOE加点は、0.60しかなかった。ここをクリーンに降りて、この部分が上積みできれば、さらに得点を伸ばしそうだし、何よりSPの演技構成点では、47.21と評価され、宇野の46.85点を上回ったのだ。キャリアのない選手は、ジャッジが固定観念を持ち、演技構成点が伸びにくいとされているが、すでに実績と評価を得たことが武器である。 しかも気負いがない。 チェンに勝てるか?と聞かれ「わからない」と戸惑いを見せたが「誰かに勝つよりも自分自身を超えることが一番。1位になりたいとか、誰かに勝つのではなく、自分に勝つのが一番」と18歳とは思えぬ哲学を語った。 そして「団体戦のような演技ができればメダルの可能性がある」と本音もチラリ。 中庭氏も、「ジャンプの柔らかさと、演技全体にあるスピード、そしてスケーティング技術はトップクラスです。大きなミスが少なく演技構成点も評価されています。安定感で言えば鍵山選手にプライオリティーがあります」と評価した。 4回転は1本少ないが、チェンがミスをすれば、安定感とさらなる自己ベスト更新が見込まれる成長力で逆転をつかみとる可能性はあるだろう。18歳での個人でのメダル獲得となれば日本フィギュア界史上最年少となる。 フィジカル強化の成果からか、ジャンプの安定感と成功率が数段増したチェンがミスを連発させることは考えにくいが、何が起きるかわからないのが五輪の舞台である。運命の金メダリストは、14時18分からスタートする最終滑走者のチェンが演技を終え、採点が出た時点で決定する。 (文責・論スポ/スポーツタイムズ通信社)