【被災地の産婦人科医療】現地の医師が訴え「このまま突っ走っていくと崩壊する」 不妊治療をためらう女性も・・・ おかえりコメンテーターの藤田医師が見た被災地【能登半島地震】
HuMAの要請を受け、初めての被災地医療へ
能登半島地震の影響でいまも断水が続く石川県七尾市。地域のお産を守る総合病院に、おかえりコメンテーターの藤田医師が支援要請を受け、派遣されました。被災地の産婦人科医療を、藤田医師はどう見たのでしょうか。
産婦人科医の藤田由布医師が災害医療を担うNPO「HuMA」の要請を受け、1月27日から5日間、震度6強を観測した石川県七尾市の恵寿総合病院に行くことになりました。この病院は被害が大きかった奥能登地域からも患者を受け入れている、地域医療支援病院です。 (記者)「災害でお医者さんとして行かれるのは初めてなんですか?」 (藤田医師)「災害は初めてですね。阪神淡路大震災の時は大学1年生で、近所の被災してるところの病院とか避難所の小学校とかで、1日中ボランティアでトイレ掃除したのを覚えてますね」
被災地医療の現実「このまま突っ走っていくと崩壊する」
発災から1か月あまりが経った今も断水が続く七尾市。産婦人科病棟も水が出なくなり、井戸水が使える本館の内視鏡室を間借りして診療を続けています。
恵寿総合病院の産婦人科長・新井隆成医師は発災直後から病院への支援の必要性を訴え、全国から22人の医師や助産師・看護師らを受け入れてきました。 (新井医師)「結局医療者も被災者集団なので、普通だったら余裕をもってできることが余裕がなかったり、スタッフ同士ぶつかったり。このまま突っ走っていくと息切れじゃないけど絶対崩壊するなって思いました」
40代で初産の女性が入院
恵寿総合病院には、様々な事情から能登にとどまり、出産したいという人たちが集まってきます。 (新井医師)「家族と支え合いながら私は子どもを育てたいんだと、家族はいま輪島から移れないから、自分も金沢に行くわけにはいかないんだと。そんな人たちをひとりも犠牲にできないっていうような考え方を持たないと」 能登町に住む40代の妊婦さんもその1人です。 (新井医師)「お母さんが気分が悪くないということがすごく大切なので。お母さんと赤ちゃんが大丈夫だったら生む方向に」 能登町の自宅から七尾市までは道路の状況が悪く、2時間以上かかるといいます。40代で初産。さらに、流産や早産のリスクがある妊娠糖尿病と診断されたため、万が一の場合に備え、地元を離れて入院し、出産に備えることにしたそうです。