【被災地の産婦人科医療】現地の医師が訴え「このまま突っ走っていくと崩壊する」 不妊治療をためらう女性も・・・ おかえりコメンテーターの藤田医師が見た被災地【能登半島地震】
「断水」が産婦人科医療に与える影響
とはいえ、病院も地震で万全の状態で妊婦さんたちを迎えられるわけではありません。中でも断水は衛生面から考えて、非常に困る事態です。産婦人科では例えば、赤ちゃんの沐浴。 (中居助産師)「すごく気持ちよさそうに入ってくれる」 (記者)「通常だと沐浴はどうするんですか?」 (中居助産師)「通常だと沐浴槽という専用のものがあるので、蛇口をひねったらすぐお湯が出る状況なんですけど、いまはそれがかなわない状況なので」 助産師の中居さんは、札幌の総合病院から応援に来ています。 (中居助産師)「2018年の北海道胆振東部地震の時には、近隣のクリニックから患者さんを受け入れたんです。あのときは非常電源もすぐ使えてて、病院の電気の復旧も早かったんですよね。なのであまり困らなかったんですけど、水が出ないってこんなに困るんだなっていま感じています」
地震以降、2月8日の時点で恵寿総合病院では11人の赤ちゃんが生まれています。七尾市の実家に里帰り中に被災した石黒由果さんも、1月25日に元気な女の子を出産しました。名前は「蒼七(そな)」ちゃんです。 (石黒さん)「蒼という字なんですけど冬の漢字で草木が生い茂る、冬の中でも生い茂ってる様子というような漢字なんです。それに七尾でご縁があって生まれたということで。七尾の冬の寒々しいんですけど、草木生い茂るようにたくましく育ってほしいと」 (藤田医師)「素敵、七尾の七だったんですね」 石黒さんの実家は出産する時点で断水が続いていましたが悩んだ末、両親や親戚がいる七尾でしばらく子育てをすることに決めました。
「先生の大事な時間を割いてはいけないと思っていた」 被災地の産婦人科医療
被災地の産婦人科医療で課題となるのは、妊娠・出産だけではありません。 (40代女性)「移植はもう4回くらいやってて、全然うまくいかなくて」 藤田さんが担当する外来にやってきた40代の女性。不妊治療を続けてきましたが、 検診で子宮に「筋腫」が見つかりました。 (藤田医師)「着床部位にジャマ物がおったりしたら、なかなかうまいこと移植できへんかったりもするから、子宮筋腫がどのくらい大きなものがどこにあるかしっかり見た方が いいかなって思います」