日本将棋連盟創立100周年や女流棋士制度創立50周年、藤井7冠堅持…将棋界の2024年を振り返る
注目対局や将棋界の動向について紹介する「今週の一局 ニュースな将棋」。専門的な視点から解説します。AERA2024年12月30日-2025年1月6日合併号より。 【貴重写真】和服じゃない!スマホ片手にデニム姿の藤井聡太さん * * * 2024年は日本将棋連盟創立100周年、女流棋士制度創設50周年にあたる。東京と大阪にはそれぞれ、新しい将棋会館が建設された。その記念すべき年を、駆け足で振り返ってみよう。 24年の将棋界の主役は、やはり藤井聡太だった。藤井は1月の段階でタイトル全八冠を保持。年度最高勝率をうかがう勢いで勝ち続けていた。その藤井に対して、朝日杯では永瀬拓矢九段、NHK杯では佐々木勇気八段がそれぞれ決勝で立ちはだかり、藤井の優勝を阻止している。 藤井と同学年で、早くからライバル候補と目されていた伊藤匠七段は、藤井にだけはまったく勝てていなかった。しかし伊藤は叡王戦五番勝負で、藤井をタイトル戦初のカド番に追いつめる。そして最終第5局で3勝目をあげ、初タイトル獲得。同時に、藤井の八冠の一角を崩した。 藤井はその後、タイトル防衛を重ねていく。棋聖戦、王位戦では早くも5連覇を達成。史上最年少で永世称号も得た。12月11・12日におこなわれた竜王戦七番勝負第6局では佐々木に勝ち、4勝2敗で竜王防衛を果たした。藤井は七冠を堅持。年明けからは王将戦で永瀬、棋王戦で増田康宏八段を挑戦者に迎えて防衛戦が始まる。叡王戦本戦トーナメントでは、藤井の八冠再挑戦なるかが注目される。 女流棋界では、福間香奈女流五冠と西山朋佳女流三冠の「二強」時代が続いた。福間は現在、妊娠のため休場中。無事の出産と、その後の変わらぬ活躍を祈りたい。西山は棋士編入試験五番勝負を受験中で、現在2勝2敗。年明けにおこなわれる第5局で柵木幹太四段に勝てば、女性初の棋士四段となる。 福間、西山と同じく、元奨励会三段という経歴を持つ中七海女流三段も加わり、女流棋界は今後とも、ますますのレベルアップが見られそうだ。(ライター・松本博文) まつもと・ひろふみ◆フリーの将棋ライター。東京大学将棋部OB。『棋承転結』(朝日新聞出版)で第36回将棋ペンクラブ大賞文芸部門優秀賞を受賞 ※AERA 2024年12月30日-2025年1月6日合併号
松本博文