“ナカメの美食スポット”〈ツムギ〉で、創造性豊かな料理と厳選アルコールのマリアージュ!
秋の薫りを感じられるのが、“秋刀魚と焼き茄子、酢橘とトマトのコンソメ”。塩で10日間寝かせて味を落ち着かせた秋刀魚と、なめらかな宮崎県の伝統野菜“佐土原なす”のコンビネーションが光る。コンソメジュレや秋刀魚節で味付けたトマトも特筆する名脇役。
“南蛮海老とロゼワインのシャリ フェンネルのピュレと葉のオイル”は、鮨を洋風の一皿に仕上げた意欲作。ロゼワインと赤酢の赤シャリの上に、とろっとした南蛮海老がのせられている。フェンネルは葉とピューレ、オイルと3つの変化があり、軽快な香り。ちりばめられた越後村上の塩“白いダイヤ”が全体を引き締める。
サプライズな演出を鑑賞できるのが、“対馬産穴子と天恵菇 胡瓜とコーレーグースの三杯酢”。桜のチップで瞬間燻製し、ワイングラスをクローシュの代わりに用いた。香ばしく焼いた対馬の穴子に、厚みと滋味のある大ぶりのプレミアム椎茸“天恵菇(てんけいこ)”が負けていない。島とうがらしを泡盛に漬け込んだ沖縄県の調味料“コーレーグース”と胡瓜のソースが心地よい刺激。
“佐島産蛸と里芋のフリコ、バターナッツ南瓜 柑橘と3年熟成かんずりのポン酢”は、芋蛸南京の組み合わせをイメージした一皿。イタリア郷土料理の“フリコ”をアレンジした里芋とチーズのタルト、甘いバターナッツカボチャのピューレ、弾力感のある叩いた蛸を取り合わせた。新潟県の発酵香辛料“かんずり”が乙な刺激で、アマランサスの鮮やかな“赤”もチャームポイント。
メインディッシュは、“吊るし熟成短角牛の藁焼き 炭化した菊芋とフォン・ド・ブフのソース”。岩手県の短角牛を4週間熟成させ、その俊味を深めた。低温でじっくりと焼いた後に、藁焼きにして香ばしく仕上げている。脂がのったリブロースとやわらかなカイノミの2種類の短角牛が、口福を満たす。ローズマリー風味の牛脂パウダーを和えて、味変も体験してみて。
クリエイティブな料理には、“ペアリングコース”(6600円)でお酒も合わせてみたい。特定の産地に固執することなく、世界中から最適なワインをセレクトしてくれる。 “シュロス・アラス ラビット リースリング ゼクト ブリュット”は、ドイツのスパークリングワイン。青りんごのようなフルーティーさがあって、さわやかなので最初の一杯にはちょうどいい。長崎県の離島、壱岐で造られたのが“よこやま 純米吟醸 SILVER ひやおろし”。軽やかできれいに整った口当たりから、濃密な旨味が広がる。生酒ならではのフレッシュさがあって、魚介類や野菜との相性も抜群。“ゾラ・ワインズ カラシイ 2018”はアルメニアの赤ワインで、細かなタンニンと高い酸があり、心地よいミネラル感も。短角牛のじっくりとした旨味に寄り添う。