乃木坂46のモバイルサイトディレクターも経験した町田ゼルビアの女性広報の奮闘「SNS で最下位では恥ずかしい」
【負けた試合で何を見せるのか】 J2で優勝したFC町田はJ1に昇格。苦戦が予想された2024年も白星を積み重ねた。 「開幕前、J1で簡単に勝てるわけがないと思っていたのですが、本当にすごいですね。J2の時よりも観客がたくさん入ること、テレビ中継のカメラの台数が増えたことには驚きましたが、それ以外、広報の仕事としては大きく変わることはありません。私自身は2年目だということがあり、去年よりも落ち着いて仕事ができるようになりました」 西村の心配は、SNSでの発信が思うように拡散できていないこと。 「親会社がIT会社のサイバーエージェントだということもあり、個人的にはものすごくプレッシャーを感じています。J2で優勝した2023年もインスタグラムのフォロワーとかは下から数えたほうが早くて......チームが勝っていることをうまく利用してどんどん増やしていかないと。サッカーの成績はいいのに、SNS では最下位というのでは恥ずかしくて、みんなに顔向けができません」 チームの魅力を発信すること、スタジアムに集客すること、認知度をもっと上げること。広報に課せられた仕事は多い。 「通常の広報業務をきちんとやりつつ、もっと発信力を強化していきたいですね。新しい情報を発信することもそうです。『バズりそうだな』ということを常に考えながら、いろいろな人にヒヤリング、情報取集をしています」 勝つこともあれば負けることもあるのがスポーツだ。どれだけ戦力が充実していても、連戦連勝は難しい。 「勝敗に関係なく、スタジアムに来てよかったなと思ってもらえるようにしたいと考えています。負けが続いたとしてもサポーターが離れていかないように。試合に負けても、クラブを愛してくれる人をもっと、もっと増やしていきたい」 負けた試合で何を見せるのか──プロの選手たち、スタッフには難しい課題が与えられている。 「たとえ負けても、ネガティブな発信だけではなくて、インスタなどでも結果以外のことをみなさんに伝えられればいいなと考えています。勝敗にかかわらず、すばらしいプレーがたくさんあります。得点にはつながらなかったけどいいパスが出たとか、目立たないけどこのプレーのおかげで失点を防げたとか。SNSの動画の再生回数は誰もが見ることができます。そういう意味でも、広報の責任は重大ですね」