お祭りや誕生日会などのサプライズが苦手な「発達障害」の子どもたち。特別支援教育専門家「なのでイベントは<可視化>すべきで…」
特別支援教育の専門家で、500名以上の子どもの支援に携わる前田智行氏は、「実は私自身幼いころから問題行動が目立つ子どもでした」と言います。当事者であり支援のプロフェッショナルだからこそわかる、「今本当にすべきこと」とは?「子育ての突破口が見えた!」と共感・感謝の声が多数の著書『「できる」が増えて「自立心」がどんどんアップ! 発達障害&グレーゾーンの子への接し方・育て方』から一部を抜粋して紹介します。 【書影】500名以上の子どもの支援に関わってきた、特別支援教育の専門家 前田智行さん著書『「できる」が増えて「自立心」がどんどんアップ! 発達障害&グレーゾーンの子への接し方・育て方』 * * * * * * * ◆善し悪しの見通しを先に伝えておくと安心できる ASDの子どもは、初めての場所や人が苦手なので、先に見通しを伝えておくことが重要です。さらに、どんな行動がより良いのかという基準を伝えておくと、より気持ちが安定します。 たとえば、「今日は、田舎のおじいちゃん、おばあちゃんの家に行きます。移動の電車の中で、外を見たり、ゲームをしたりして静かに移動ができたら100点、 騒いじゃっても気づいて謝れたら50 点、大声で喋って周りの人に迷惑をかけたら0点です」というように、行動基準を先に伝えます。 そうすることで、「じゃあ、外を見ていたら100点か」「うっかり大声出したら『ごめんなさい』と謝ろう」というように、行動レベルで見通しが持てます。 また、基準通りに適切な行動ができたら、ほめて、その行動を強化・定着することも可能です。
◆友達をほめたり、親切にするのはメリットがある 特別支援が必要な子どもの中には、友達をほめたり、親切にしたりすることを教えようとしても、「どうしてですか?」「僕に別にいいことありません」と言うことがあります。 特性的に人に興味がないこともありますし、過去の失敗体験が背景にあることもあります。そんなときは、『情けは人の為ならず』という諺(ことわざ)を使うことがおすすめです。 「人に親切にするのは、人のためではない、親切にすると、巡り巡って、自分にいいことが返ってくるんだよ」と、あくまで、「親切は自分のメリットのためにやる」と思えると、モチベーションが出る子がいます。 もちろん、目に見える報酬はすぐにあるわけではないので、効果が薄い子もいますが、中学生以降ですと、「人に親切にしていると、『**くんって優しいよね』って評判が上がるし、好きな子と話せる確率も上がるよ」というような、メリットを伝える方法もあります。
【関連記事】
- 「自分はダメ人間」と思ってきた特別支援教育専門家が発達障害の子どもと向き合って気づいたまさかの事実。「行動が自分とそっくりで…」
- グレーゾーンの子を前に大人は「発達が遅れているだけ」「追いつくのでは」と考えがちだけど…特別支援教育専門家「初期対応は<反対>に考えてみて」
- <休む>がわからない「多動」の子どもにどう接する?特別支援教育専門家「不登校の子どもには、疲労が大きすぎるために登校拒否するケースも…」
- 発達障害・グレーゾーンの子が「同じものを着たがる」「服のタグを嫌う」のは「感覚過敏」が原因かも。わがままと誤解せず感覚過敏に配慮を
- 発達障害・グレーゾーンの子にとって学校のような集団は「地獄」となりうる。彼らが集団内でパニックを起こしやすいのはなぜか