「オワコン」と思いきや、実際はインバウンドで大盛況! あの「カタログ通販の会社」がホテル事業で大きく成長していた
ホテル業界紙『月刊ホテレス』のホテル客室稼働率調査によると、2024年9月の全国の平均客室単価は1万3907円。コロナ禍の落ち込みなど外的要因に左右されることもあるそうだが、基本は平均か、それより高めで推移しているということだ。 売上高も好調で、ホテル、賃貸、発電所とプロパティ事業を合わせて前期320億円、うち8割をホテルが占めている。営業利益は42億円。2023年3月期はプロパティ事業の売上高が208億円、営業利益13億円だったことを考えると、恐ろしい伸び率だ。
さらに今期は、売上高366億円、営業利益53億円を見込んでいる。2025年4月には札幌に605室、7月には小樽に159室のホテルを開業する計画だ。2024年12月には、定山渓ビューホテルの2フロアをエグゼクティブフロアにする大改装も予定。その増収も反映されての数値である。 安野社長は、「東京や京都のインバウンド、コロンボやモルディブの稼働率、売り上げともに伸びていて、まだまだ成長を見込んでいます」と自信を見せる。
その言葉通り、同社の東京のインバウンドの割合は約85%と高く、京都では95%を占める。全体では、都市型ホテルで60%、国内ホテルのリゾート系で20~30%だそうだ。 日本人を顧客にしてきた通販会社にとって、このようにインバウンド需要を取り込むことは、広義でのリスク分散と言えるのかもしれない。 ただし、これはあくまで結果で、最初からインバウンドを狙ったわけではないそうだ。日本人客が中心だったが、他ホテルもそうであったように、2015年頃から飛躍的にインバウンドの利用が増えていったのだ。
■ベルーナのホテルが北海道に多い訳 同社のホテルの26施設中5施設が北海道にあるのも、最初はインバウンドを狙ったものではなかった。 元々ベルーナの前身企業は、1975年頃から札幌、釧路、北見に事務所を構えていた。安野社長はそこへ頻繁に訪れるうちに、食や観光資源、大自然のポテンシャルが高いことを実感。「ますます人気が高まってくるだろう」「かなり集客できる場所ではないか」と、北海道でのホテル経営を構想するようになったという。