負けられないオマーン戦へDF冨安健洋がアーセナル式のセットプレー改革を訴える!「スローインのボールロストが多すぎる」
9月2日のアジア最終予選初戦で、それまでの対戦成績が9勝3分けだった中東の伏兵オマーンにまさかの黒星を喫した。試合会場となったホームの市立吹田サッカースタジアムのピッチ上にも、そしてベンチにも冨安の姿はなかった。 夏の移籍市場が閉まる現地時間8月31日のギリギリになって、望んでいたボローニャからのステップアップを果たせる可能性が高まった。日本サッカー協会(JFA)へ相談すると、森保監督はヨーロッパに留まっていいと快諾してくれた。 新天地は冨安本人をして「望外」と喜ばせたアーセナル。オマーンと戦うために帰国していたら、正式契約に必要なメディカルチェックを受けられなかった。森保監督へ感謝の思いを抱きながら、中国代表との第2戦が行われるカタールの首都ドーハへひと足早く入った冨安が映像越しに見たのが、オマーンに屈した日本の姿だった。 「たまたま負けたわけではないと感じました」 両チームともに無得点で迎えた試合終了間際に喫した失点で敗れた一戦を、冨安は偶然ではなく必然だと受け止めた。クロアチア代表コーチ、イラン代表監督として過去に日本と対戦するなど、豊富なキャリアを持つクロアチア出身の知将ブランコ・イバンコビッチ監督のもとで、万全の日本対策を積んできたオマーンに攻守両面で上回られた。 オマーンは[4-4-2]システムで、中盤をダイヤモンド型にして日本と対峙。前線の2トップに加えてトップ下、両サイドハーフが激しくプレッシャーをかけて日本の最終ラインからのビルドアップを寸断した。何とか1トップの大迫勇也(31・ヴィッセル神戸)にボールを入れても、待ってましたとばかりに潰して機能不全に陥らせた。 「オマーンもしっかりと準備して、戦術が浸透しきっている、と感じました。なので今回も簡単な試合にはならないと思いますし、難しい局面も出てくるかと」 自身にとっては初めて対峙するオマーン戦を見すえる冨安の脳裏には、U-24日本代表のセンターバックとして臨んだ今夏の東京五輪が蘇っていた。 準々決勝で対峙したU-24ニュージーランド代表も、中盤をダイヤモンド型にした[4-4-2]を採用。日本が攻めあぐねる展開が続くなかで、指揮官を兼任していた森保監督は何ら対策を講じないまま延長戦を含めた120分間を0-0で終えた。 試合そのものはPK戦の末に、アジア最終予選を戦うA代表にも抜擢されているゴールキーパー谷晃生(20・湘南ベルマーレ)の活躍で勝利した。しかし、中2日の連戦が続いた過密日程で延長戦を戦った分だけ体力も精神力も削られた日本は、U-24スペイン代表との準決勝、U-24メキシコ代表との3位決定戦で連敗した。