負けられないオマーン戦へDF冨安健洋がアーセナル式のセットプレー改革を訴える!「スローインのボールロストが多すぎる」
冨安自身も準々決勝でイエローカードをもらい、スペイン戦は累積警告による出場停止を科された。苦い経験を糧にするように「これはニュージーランド戦前にも思っていた」と前置きした上で、オマーン戦へ向けた対策のひとつを明かした。 「日本の両サイドバックには時間ができる。なのでサイドバックを上手く使いながら、どのようにボールをわたして、どのように崩していくかがキーになる。そこに関しては(前回のオマーン戦の)流れを確認しながら、他の選手たちと話した部分もあります」 オマーンは両サイドハーフが中へ絞り気味になり、相手の最終ラインやボランチにプレッシャーをかけてくる。東京五輪のニュージーランドも然り。だからこそ、日本の両サイドバックが時間と前へのスペースを得る状況が生まれやすい。 アーセナルでサイドバックを担っているからこそ、状況によってはゲームメイクも担当する、現代サッカーにおけるサイドバックの重要さを冨安も理解する。未勝利でグループBの最下位にあえぎ、総失点もワーストを記録するベトナム代表に1-0で辛勝した、11日のアジア最終予選第5戦の反省も込めながら冨安は言葉を紡いだ。 「ベトナム戦でもサイドチェンジがなかなかできなかった。中盤を経由して逆のバイタルエリアへ持っていくのもそうだし、サイドバックからサイドバックへの一発のサイドチェンジももちろんあり得るし、そこもキーになってくる」 ヨーロッパでプレーする日本人選手が飛躍的に増えたなかで、冨安は名門復活が期待されるアーセナルの一員として現在進行形で誰よりも濃密な経験を積み、結果を残せなければファン・サポーターの厳しい批判にさらされる環境でプレーしている。 「明らかに注目度が違うし、クラブの規模も違う。その意味でワンプレー、ワンプレーを大事に、こだわりながらプレーする環境はプラスに働いている」 今夏の移籍を境に激変した日々をポジティブにとらえる冨安を、もちろん森保監督も歓迎する。選手個々が所属チームで培ってきた経験値を、招集されるたびに代表チームへ還元する姿を、選手の主体性を重視する指揮官が誰よりも望んでいるからだ。 新たに[4-3-3]を取り入れた日本に対して、イバンコビッチ監督が新たな対策を講じてくる可能性はある。それでも、オマーンへ借りを返す上でのベースとなる戦い方を伝える冨安は、コーナーキックやフリーキックにも「自分のところにボールが来ると信じて100%で、サボらずに飛び込む」と決意を新たにした上で、さらにこう続けた。 「何事も準備のところから始まる。できる限りの準備をして、試合で思い切ってプレーできるような状況を作った上で勝ち点3を目指したい」 冨安が言及した準備こそが、特にスローインを中心としたセットプレー改革であり、左右のサイドバックが担う役割の再認識となる。フィールドプレーヤーでは最年少となる、今月23歳になったばかりの冨安が放つ存在感がどんどん大きくなっていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)