米銀破綻も金融システム全体は揺らがず 次回5月FOMCで利上げ終了か
米FRB(連邦準備制度理事会)は政策金利を0.25%引き上げることを決めました。シリコンバレーバンクなど米銀行の破綻で金融不安が広がる中、今後の金融政策はどうなるのか。第一生命経済研究所・藤代宏一主任エコノミストに寄稿してもらいました。 【写真】“一枚上手”だった日銀 今後の金融緩和は? 住宅ローンは? 政策修正めぐる5つの「Q」
金融不安くすぶるも“インフレ退治”を優先
3月FOMCでは大方の予想通り0.25ポイントの利上げが決定され、FF金利(誘導目標レンジ上限)は5.00%とされました。米銀の破綻など金融不安はくすぶるものの、“インフレ退治”を優先した形です。 公表された声明文では、これまで示されてきた「継続的な利上げが適切になると予想する(ongoing increases in the target range will be appropriate)」という政策金利の指針が削除され、その代わりに「幾分の追加的な金融政策引き締めが適切になるかもしれないと予想する(some additional policy firming may be appropriate)」という確度を落とした文言が加わりました。これは利上げ終了が近いことを宣言したと考えて差し支えないでしょう。 そして声明文には最近の金融不安についての記載が加わりました。「米国の銀行システムは健全かつ強靱(The U.S. banking system is sound and resilient)」としつつも「最近の金融不安は家計と企業に信用状況の引き締まりをもたらす可能性が高く、そうなれば経済活動や雇用、そしてインフレの重荷になる(Recent developments are likely to result in tighter credit conditions for households and businesses and to weigh on economic activity, hiring, and inflation)」といった形で警戒感が示されました。