自宅療養した医師が実感する新型コロナ「有効な家庭内対策」 - ふじみの救急病院 鹿野晃院長
容態の「急変」とは
--療養中に容態が「急変」する事例が報告されています。保健所や医療機関に連絡する目安や気をつけておくことを教えてください。 鹿野院長: 突然胸が苦しくなったり、右や左の手足が動かなくなったり、こういったものは心臓発作や脳卒中の可能性がある。ろれつが回らなくなるとかですね、そういう症状があった場合には速やかに救急車を呼んでもらった方が良いと思います。 そういった心臓や脳の血管が詰まってしまうもの以外にも、徐々に肺炎が悪くなるといった場合があります。通常の病気ですと、酸素濃度が下がってくると息苦しさを感じるものですが、コロナに関しては酸素濃度が下がってきても、あまり息苦しさを感じないということがある。その状態で長く時間が経ってしまって、急速に悪くなり、ある時意識がなくなって、自宅でお亡くなりなってしまうということがあります。 これを防ぐために、指先で酸素飽和度を測る機械があります。自治体によって違うようなんですけども、配布してくれるところがあります。ただ、普段は配布してるけれども、感染者が溢れて足りなくなったりします。ネットで数千円ぐらいで買えますので、一家に一台ぐらいは、こういったものを事前に用意しておくと良いでしょう。元気そうにしていても、測ってみると意外に酸素濃度が下がっているといった場合がありますので、そのときは迷わず保健所に相談してください。 タバコを吸う方とかであれば、普段から酸素飽和度が低く90%ちょっとぐらいしかないような人もいますし、90%後半ある方もいますので、自分の普段の数値を知っておくのがいいと思います。ただ、一般的に90%を切ってくるというのは、いずれにしても呼吸不全という定義になりますので、90%を切ったら危ないというのは知識として持っておくといいんじゃないかなと思います。 --自分がもし感染したときのために、他にはどのような備えを? 鹿野院長: 私も発症して自宅療養が始まるまでは中くらいの症状で、そこまで薬はいらないかなと思っていました。ただ、後から悪くなった場合、特に解熱剤や咳止めなど症状を楽にする薬に関しては、念の為、最初にもらっておいた方がいいのかと思います。 陽性になって家に帰ってから悪くなっても、遠隔診療など受けられない環境だと、つらい症状を抑えるようなお薬は手に入らない。処方箋なしで薬局で自己流で選んでも、コロナのときに飲むと危ないような薬もありますので、事前にもらっておくといいのかなと思いました。 また、コロナに関しては、自宅療養になってからは、1日1回の保健所からの健康観察以外は外部の医療の目が届かない状況になりますので、例えば、一人暮らしの方にとっては不安が大きくなります。何かあったときに連絡できるような連絡先を確保しておくということも大事だなと思いました。