いまなお物議の「表現の不自由展」 名古屋では「アンチ展示会」と対面開催で波乱?
アンチ展示は「プレ企画」の位置付けとも
一方のトリカエナハーレについても開催の狙いなどを確認するため、実行委員会の会場責任者が所属するとされる政治団体「日本第一党」を通じて取材を申し込んだが、2日午前の時点で返答を得られていない。実行委員会「公式」を掲げるツイッターは、「原則として国内既存メディアの取材はお断り」と表明している。 ツイッターには「不自由展」に対する批判的な投稿が多くみられ、明確なアンチテーゼとして企画されているであろうことは想像に難くない。また、展示内容は「作品30点に加え、今年は資料展示が増える見込み」としており、日本の軍人や旭日旗が強調された絵画などの画像が上げられている。 予定通りなら9~11日の3日間、対照的な2つの展示会が、同じフロアで通路を挟んで向かい合う形で開かれることになる。 なお、実行委員会は一昨年10月に「あいちトリカエナハーレ2019」を愛知県立の施設で開催したが、愛知県の大村秀章知事が「ヘイトスピーチ(差別扇動表現)に当たる」などと指摘。昨年は県施設で行う予定だったが、警備条件などをめぐって折り合いが付かず、今回と同じ名古屋市民ギャラリーで開かれた経緯がある。 ツイッターにはほかにも、今回の市民ギャラリーでの展示は「プレ&カウンター企画」であり、2019年の「あいちトリエンナーレ」の主会場だった愛知芸術文化センターでの「本企画」開催を目指している、との投稿もある。今回の展示が終了した後も、まだまだ一波乱も二波乱も起こりそうな様相だ。
施設側は許可出すも「判断難しい」
市民ギャラリーの指定管理者である名古屋市文化振興事業団は、両団体の申請を受けて安全面や感染症対策などについて協議した上で、6月中旬に河村たかし市長名でそれぞれに使用許可を出している。ギャラリーの利用条件には、「公序良俗に反するおそれのあるもの」や「人に危害を及ぼすおそれのあるもの」などが持ち込めない、との規定があるが、今回、いずれの展示会もそれらに当たらないと判断した。 一方で、両展に対する抗議電話などが既にかかってきており、混乱も予想されている。事業団は現場に職員を増員して対応に当たる予定だが、2日の時点で「差し迫った危険や、警察でも手に負えない状況があるかどうか。まだ判断は難しい」として、東京や大阪の動きも含め、さらに情報収集などを進めるという。