「トリエンナーレとは全然違う」 名古屋・河村市長が「不自由展」の許可理由示す
名古屋市の河村たかし市長は21日、市役所で定例記者会見に臨んだ。7月6日から市内の市営ギャラリーで開催予定の「表現の不自由展」関連の展示会について、「今回は(2019年のあいち)トリエンナーレとは全然違う。市が制作費を出すわけでも、主催事業でもない」と、施設利用を許可する理由を示した。 【動画】「トリエンナーレとは全然違う」 名古屋・河村市長が「不自由展」の許可理由示す 定例会見 一方、不自由展に批判的な人たちによって、同時期に同じギャラリー内で計画されている「あいちトリカエナハーレ」と題した展示会についても、同じように許可を出す見込みだとした上で、混乱が起きないよう「丁寧にフォローしたい」と述べた。
「自分のお金で、自分で主催するなら表現の自由」
展示会は19年のあいちトリエンナーレで物議を醸した「表現の不自由展・その後」の展示作品を再展示しようと、県内の市民団体が企画。「私たちの『表現の不自由展・その後』」と題し、中区役所ビル内の市民ギャラリー栄で7月6日から11日にかけて開催される。 河村市長は2年前のトリエンナーレでは企画内容に猛反発し、展示の一時中止や、その後の大村秀章・愛知県知事に対するリコール運動にもつながった。 この日の会見では「トリエンナーレは公共事業であり、県と市の主催事業。そうなると県民、市民が応援したということになる。自分のお金で、自分で主催してやるなら表現の自由だ」と主張。 今回はむしろ「パブリックフォーラムの原理で、公共的なところはより多くの人に使ってもらわなければならない」とし、「公序良俗に反したり、暴力事件が起こったりしなければ、政治的に偏ったものや宗教的なものは排除する規定がないので許可をした」と述べた。 一方の「トリカエナハーレ」は昨年、不自由展に反発する政治団体が愛知県施設での開催を企画したが、大村知事は「ヘイトスピーチ(差別扇動表現)に当たる」と批判、県施設でなく名古屋市の市民ギャラリーで開催された経緯がある。河村市長は今回、まだ正式な申請や市の許可手続きがされていないとしながら、同様の理由で許可する見通しを示した。
名古屋城は「木造復元の議論進展」と報告
名古屋城の木造復元については、6月18日に文化庁から「文化審議会文化財分科会で、天守解体と木造復元を一体の計画として審議していく必要が認められる、との所見になった」との連絡があったと報告した。 河村市長は、石垣の追加調査や天守解体理由の説明などを求める文化庁からの「宿題」に答えられたとして「いよいよ復元に向けての議論が始まるので、市民の皆さんもご安心をいただきたい」と述べた。 (関口威人/nameken)