「あいちトリエンナーレ」問題 名古屋市が独自の検証委員会設置
名古屋市の河村たかし市長は9日、市役所での定例記者会見で国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」について、名古屋市として「あり方・負担金」を検証する委員会を設置、19日に東京都内で第一回の会合を開くと明らかにした。 今年8~10月にかけて開かれたあいちトリエンナーレをめぐっては、企画展「表現の不自由展・その後」が展示の一時中止に追い込まれるなど論争を巻き起こし、市は開催の負担金で残っていた約3300万円の予算執行を停止、すでに負担した約1億4000万円分についても見直しを表明した。 一方、愛知県は会期中の8月中旬から有識者による検証委員会を開催、不自由展再開後は「検討委員会」として今後のあり方などを議論している。河村市長はこれに市側は関与できていないとして反発し、独自の検証委員会を設置するため人選などを進めていた。 市の検証委は元内閣法制局長官で前最高裁判事の山本庸幸(つねゆき)氏を座長に、大東文化大副学長で元衆院調査局決算行政監視調査室首席調査員、名古屋市法制アドバイザーの浅野善治氏、上武大ビジネス情報学部教授の田中秀臣氏、日本財団DIVERSITY IN THE ARTSプログラムディレクターの田中由紀子氏、弁護士で元名古屋高裁長官の中込秀樹氏という顔ぶれ。 委員の都合から、都内のホテルの会議室で19日午後に初会合を開き、その様子は市がYouTubeで生中継する。冒頭で河村市長があいさつし、トリエンナーレの概要や経緯を説明した後、委員が意見交換。要望に応じて年明けを予定する2回目以降、資料を追加したり、県職員などの関係者にヒアリングをしたりする可能性もある。年度内に3回目の会合を開いて報告書をまとめ、負担金の扱いや今後のトリエンナーレへの関わり方などについて市長が判断するという。 河村市長は「大変、立派な方たちに集まっていただくので、内容のあるしっかりした議論ができると思う」などとした上で、愛知県の大村秀章知事について「何の相談もなしに独断で決めた」などと批判を繰り返した。市長の言動が検閲に当たるとして批判する知事側や芸術関係者の一層の反発が予想されている。 (関口威人/nameken)