日本人女性の「がん検診」受診率、男性よりも低い理由とは...? 雇用形態など、現代女性が抱える問題も関係
日本人の2人に1人が生涯で「がん」と診断される。その数字は想像以上に多い。だがその一方で、世界的に低いことで知られる日本の検診受診率。しかしがん検診はむやみに全部受ければいいというものではない。 【写真】一番辛いのはいつ...?乳がん&子宮頸がんと戦い抜いた経験者たちのリアル証言 では、どんな検査をすべきだろうか。年齢やライフプランに合わせて考える、特に気を付けるべき女性の健診とは? 話を伺った人… 中山富雄(TOMIO NAKAYAMA):国立がん研究センター検診研究部部長。がん検診のメリット・デメリットに関する情報や、がん予防に関する事柄をわかりやすく伝える活動をしている。『知らないと怖いがん検診の真実』(青春出版社)などの著書もある。
世界から大きく遅れている、日本のがん検診受診率
あなたは、厚生労働省が定める5大がん検診を受けているだろうか。胃がんは50歳以上(2年に1回)だが、大腸がん(毎年)と肺がん(毎年)、乳がん(2年に1回)は40歳以上、子宮頸がんは20歳以上が2年に1回が推奨されている。 「2人に1人ががんにかかる時代」と言われ久しいが、日本の検診受診率は低いまま。国立がん研究センターがん対策研究所検診研究部の中山富雄部長に話を伺った。 「コロナ禍でがん検診の受診控えが続き、1万人のがんの発見が遅れると言われていましたが、徐々に戻ってきました。ただ、以前から日本のがん検診の受診率は低い。OECD(経済協力開発機構)加盟国の30カ国の中でもワーストです。米国は医療保険では検診と同じ検査が受けることができず、検診を積極的に受ける人が多い。欧州ではかかりつけ医が検診に誘導する仕組みを作っている国も。日本は保険診療で治療してもらえることも検診率が低い理由といえるでしょう」
がん検診はむやみやたらに受ければいいものではない
日本では現在、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの5つのがん検診が推奨されている。 「なぜ他のがんの検診はしないのかとよく聞かれます。検診は行うことで死亡率がどれだけ低下するのかなど、科学的根拠をベースに、がん種や検査方法や年齢、検査間隔などを決めています。がん=早期発見早期治療がスローガンのように言われ、もちろん適切な時期に見つかり治療することががん検診の目的ですが、検診のやり過ぎにはデメリットも。 そもそも私たちの体の中ではがん細胞が日々生まれていて、消えるもの、存在していても問題ないものがあります。検診のやり過ぎでは治療する必要がないがんが見つかる可能性も。それでも見つかったほうがいいと思うかもしれませんが、検査には被ばくや手術による後遺症などのリスクもあり、メンタルにも深く影響を及ぼします。基本は5つのがん検診を推奨の年齢と期間で行うのがいいでしょう」(中山研究部長)