日本人女性の「がん検診」受診率、男性よりも低い理由とは...? 雇用形態など、現代女性が抱える問題も関係
男性よりも低い、女性の検診受診率と検診格差
日本のがん検診受診率は世界の中でも低いが、その低い受診率をさらに見ると男女で受診率に差があるのだ。 「男女ともに50%を切る検診が多いのですが、女性の場合、男性よりもさらに低い結果が出ています。これは雇用形態が影響していると考えられます。日本で受診率を上げているのは、市区町村で自らクリニックに行って受ける検診よりも企業で行う企業タイプの検診です。最近は健康事業に力を入れている企業も多く、がん検診や人間ドックが毎年受診できるところも。男性の受診率が高いのは、そういった検診を受けている人が多いからでしょう。女性の場合、男性よりも派遣社員やフリーランスなど非正規で働く人が多い。自分で検診に行かなくてはならず後回しになるケースも。また、肺がんや大腸がんは同じところで検査できても、子宮頸がんや乳がんは違うところに行かねばならないという手間も、女性の検診率に表れているのかもしれません」(中山研究部長)
ライフステージで検診のウエイトを考えてみる
がん検診の話をすると女性たちからは「仕事に子育てとどうしても自分のことが二の次になってしまう」といった声があがる。 「一度に検査できる医療機関は少ないので、確かにいろいろ回らなくてはいけないのは大変ですよね。がん検診は基本的な推奨のサイクルで行ってほしいですが、どうしても難しいという場合は完璧でなくてもいいと思います。年齢とライフプランに合わせて検査のどこに比重を置くかを考えてみるといいかもしれません。 女性の場合、若い年齢でも罹患しやすいのが子宮頸がんです。妊娠出産などを考慮して20~30代は2年に1回を必須で受けるように。逆に、20代で胃がんの検診を毎年受ける必要はありません。 40代になると女性は乳がんや大腸がんが増加するので、今度はこの2つは必ず受けるように。このように年齢に合ったものを中心に考えると検診へのハードルは少し低くなり、推奨サイクルに転機しやすくなると思います」(中山研究部長)