<2024年も迷走したエネルギー・電力政策>揺れる世界の動向、今こそ振り返りたい記事6選
4:【日本は地熱大国になれるか?】世界が羨むポテンシャル 純国産エネルギーで「地熱革命」を起こせ(2024年8月19日)
JR盛岡駅から車を走らせること約80分。山道を縫うように進んだ先に、雄大な自然と調和したウグイス色の発電所棟と茶色の配管網が姿を現した。標高1130メートルに位置する安比地熱発電所(岩手県八幡平市)に到着すると、7月下旬にもかかわらず、半袖のシャツでは肌寒さが感じられた。 出力1万4900キロワット(kW)を誇る同発電所は、今年3月に営業運転を開始した。しかし、地質の調査開始から運転開始に至るまでに四半世紀の年月を要した。安比地熱(同前)の菅野雄幸社長は「既存の地熱開発の難点は、最低10年以上というリードタイムです。地熱資源の調査や環境評価、井戸の掘削、発電所の建設など、越えるべきハードルは多い」と話す。 また、地熱発電の特有の仕組みが開発リスクを高めている。その仕組みはこうだ。地下1000~3000メートルまで浸透した雨水がマグマで加熱され熱水となり、岩盤の下やそのすき間に蓄えられることで「地熱貯留層」を構成する。ここに向けて井戸(生産井)を掘り、熱水や蒸気をくみ上げタービンを回している。しかし、地熱貯留層を掘り当てることは容易ではない。安比地熱の兼子高志技術部長は「生産井を1本掘削するのに数億円のコストがかかります。事前に調査していても実際に掘削すると、貯留層に当たらない場合もある」と話す。 【つづきはこちら】 【日本は地熱大国になれるか?】世界が羨むポテンシャル 純国産エネルギーで「地熱革命」を起こせ
5:<脱炭素で思考停止する日本>注目すべき中国の石炭火力低炭素化への戦略とは?(2024年8月23日)
5月に寄稿した論稿「【中国は石炭消費を減少させない】IEAの2023年石炭ピーク見通しが実現しない理由、日本は動じず石炭火力の低・脱炭素化を」で、筆者は中国の石炭消費が昨年、2023年にピークをつけて今後減少していくとする国際エネルギー機関(IEA)の見通しは起こり得ないと結論付けた。中国では石炭火力が依然として安定的な電力供給に重要な役割を果たしており、中国政府も2010年代後半に進めた性急な脱石炭政策を見直していることもあり、石炭消費は当面減少しないと見るためだ。 中国に限らず、多くの途上国では低廉で安定供給可能なエネルギーが経済発展に必要であり、再エネの主力電源化は支持を得ることができず、むしろ石炭火力の低・脱炭素化こそが、今後のイノベーション次第では、現実的な気候変動対策であるとの見方を示した。 果せる哉、7月15日に中国の国家発展改革委員会と国家能源(エネルギー)局は「石炭火力の低炭素化の改造建設行動プラン(2024-2027年)」(以下、行動プラン)を公表。石炭火力にバイオマス・グリーンアンモニアの混焼、あるいは排出された二酸化炭素(CO2)を集めて地中深くに貯めるCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)の導入を進める政策を打ち出した。 【つづきはこちら】 <脱炭素で思考停止する日本>注目すべき中国の石炭火力低炭素化への戦略とは?