札幌記念は「2強」で決着するのか!? 元ジョッキーが推す「馬場や展開次第で台頭可能な伏兵」とは
ダービージョッキー大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」 ――今週は真夏の大一番、GII札幌記念(8月18日/札幌・芝2000m)が行なわれます。北海道シリーズ唯一のGIIであり、GI級の馬の参戦が多い一戦です。 【画像】100mハードラー田中佑美「ビューティphoto」 大西直宏(以下、大西)今年も、GI馬が3頭出走しますね。過去の勝ち馬の名前を見ても、ハンデ重賞とは異なり、レースの格式の高さを感じます。そのため、GIへの格上げを望む声が毎年聞かれますよね。 そんななか、今年のレースで焦点となるのは、今春の海外GⅠで勝ち負けを演じてきた2頭、プログノーシス(牡6歳)とシャフリヤール(牡6歳)の走り、といったところでしょうか。 ――確かに、名前を挙げていただいた2頭が人気の中心になりそうです。「2強」の争いといった見方もあるようですが、それぞれに死角となる要素はありますか。 大西 プログノーシスは後方待機から末脚を爆発させるのが本来のスタイルで、自ら展開を作れない弱みがあります。しかし昨年の札幌記念では、1000mを通過したあたりから徐々にポジションを上げていって、勝負どころでは先頭に立つ競馬を見せました。あのような機動力を使えたことで、弱点はかなり克服されているように感じます。 速い時計にも、パワーの要る馬場にも対応できるため、天候に左右されることもないでしょう。能力どおりに走れば、連覇の可能性は高いと思います。 一方、シャフリヤールは元来が叩き良化型で、ここもアメリカのブリーダーズC(11月2日)へ向けての叩き台とされています。となると、崩れる可能性はこちらのほうが高いのではないでしょうか。 また、シャフリヤールは軽いスピード馬場が得意。昨年のレースでも11着に敗れていますし、力の要る洋芝の適性はそれほど高くないように思います。週末の北海道の天候次第では、なおさら評価を下げる必要があるかもしれませんね。 ――この「2強」以外で、大西さんが注目されている馬はいますか。 大西 3頭います。まずは、ボッケリーニ(牡8歳)です。キャリア32戦目にして初の洋芝参戦というのは意外でしたが、馬場が悪化した際には要注意な1頭だと思います。 道悪での好走実績が豊富で、タフな馬場ほど持ち前のしぶとさを発揮するタイプです。洋芝の道悪競馬では、走れる馬と走れない馬とでは大きな差が出ますが、ボッケリーニは間違いなく前者だと思います。 また、臨戦過程にも好感が持てます。前走のGIII鳴尾記念(2着。6月1日/京都・芝2000m)のあと、GI宝塚記念(6月23日/京都・芝2200m)を見送って、早々に札幌記念を目標に絞ってきました。おそらく「GII戦のほうが、より賞金を得られる」という、陣営の判断があったのはないでしょうか。