異常気象にストップを。「脱炭素問題」最新情報、日本のCO2排出量4割占める建築分野のカギは”木造化と断熱化”。日本の気候テックに世界が注目 COP29
「都市インフラをいかに脱炭素型で、かつ災害からの回復力を持つ形で設計するかが重要なテーマとなっています。特に発展と環境の両立を目指した都市計画が進行中です。日本では、JR大阪駅に隣接する『グラングリーン大阪』で、鉄道の貨物駅の跡地の半分(4.5ヘクタール)を緑化するというプロジェクトが進められています。こうした街路樹やグリーンスペースの拡大は、パリなど世界各都市でも勢いを増しており、CO2吸収やヒートアイランド現象の緩和に大きく寄与すると期待されています」(堅達さん) 建築業界の脱炭素の取り組みで注目すべき点は? 「建設業界のカーボンニュートラルを目指す上でカギを握る素材は、木材です。世界では、北欧諸国が主導する木造高層ビルの建設や、建設廃棄物を極力排出しない建築のライフサイクル全体でのカーボンゼロ化が進んでいます。COP29でもこの分野の議論が活発に行われ、開発競争が激化しています。持続可能な建築は、グローバルな潮流になっています」(堅達さん)
脱炭素社会を支える日本の気候テック。適応と緩和の最前線
脱炭素社会に向けた取り組みについて、「日本の強みは、気候テック」だと堅達さんは言います。 気候テックは、気候変動の影響に対応し、持続可能な未来を実現するための技術的なソリューションを指します。その主なアプローチには「緩和」と「適応」の2つがあります。緩和は気候変動そのものを抑制することを目指し、再生可能エネルギーの導入、エネルギー効率化技術などを指します。一方で、適応とは、気候変動によって引き起こされる影響に備え、被害を最小限に抑える取り組みを指します。これには、洪水に備えるためのインフラ整備や、干ばつ耐性のある作物の開発などが含まれます。
日本発の気候テックであるソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)。
「日本の衛星によるCO2やメタンの観測技術は世界最先端レベルですし、防災や品種改良技術も高く評価されています。さらに、ブルーカーボンを活用した炭素吸収の分野でも注目されています。惜しいのは、緩和策の一環として注目される洋上風力発電。日本近海の地形や風況に適しているにもかかわらず、開発の遅れが課題です。台湾など後発国が先行する現状に危機感を持ち、進行スピードを上げるべきです。