異常気象にストップを。「脱炭素問題」最新情報、日本のCO2排出量4割占める建築分野のカギは”木造化と断熱化”。日本の気候テックに世界が注目 COP29
インドネシアのパビリオン。インドネシアは、「2040年までに国内の石炭火力発電を段階的に廃止する」と宣言。
イギリスのパビリオン。
2024年11月に再選されたアメリカのドナルド・トランプ大統領は、1期目にパリ協定から離脱し、2期目でも再離脱すると表明しています。COP29や今後の脱炭素化への影響は? 「COP29は、首脳級の出席も少なく、勢いのないCOPでした。トランプ氏の再選は、先進国のリーダーシップにブレーキをかけてしまったと言えるでしょう」(堅達さん)
それでも、「ビジネス界の脱炭素の動きは止まらない」と堅達さんは予想しています。 「欧州連合(EU)は、温室効果ガス排出量の多い国から輸入される製品の競争力を低下させ、排出量の少ない国から輸入される製品の競争力を高める炭素の国境調整メカニズムやデジタルプロダクトパスポートの導入を義務付けています。もはや『脱炭素なくして商いができない』時代に突入しているのです」(堅達さん)
世界の脱炭素にむけた最新の都市計画と建築業界の動き
気候変動対策において建築分野が果たす役割はどのように変化しているのでしょうか? 「実は、建築分野が日本のCO2排出量の約4割を占めると言われています。COP29の開催中、国連環境計画(UNEP)が主催し、新たに『ICBC(Intergovernmental Council for Building and Climate)』という組織が立ち上がりました。これにより、建築や都市が気候変動対策で果たす役割の重要性が改めてグローバルに再認識され、情報交換やルールづくりを進めていくことになりました」(堅達さん)
国連の予測によると、2050年までに世界人口の7割が都市に居住するようになるとされています。これからの都市はどうあるべきでしょうか。自然そのものの力を活用する「ネイチャーポジティブ」な都市づくりも注目されています。 「産業界からCO2を減らすだけでは、地球温暖化の1.5度目標(※)の達成は難しいとされています。そのため、自然そのものの力を活用し、森林や植生(グリーンカーボン)、海洋生態系(ブルーカーボン)などによるCO2の吸収が今、非常に重要視されています。ブルーカーボンとは、海草などが炭素を吸収・固定するプロセスを指します。ネイチャーポジティブをまちづくりにもどんどん生かしていくことが大事であり、そういう政策が世界中で今行われています」(堅達さん) ※1.5度目標 パリ協定で示された世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より低く保ち、1.5℃に抑える努力をするという目標。COP26で実質的に1.5度目標は努力目標から国際合意に格上げされた。