肩こりはココを伸ばすとスッと楽になる…日本人が気づいていない体の重要組織「ファシア」と最強ストレッチ
■「ヨガのポーズ」が肩こりに効く理由 長時間のデスクワークをしているビジネスパーソンの中には、しつこい肩や首のこりに、悩んでいる人も少なくありません。例えば肩こりなら、肩たたきや肩もみが定番の解消法で、休みの日に奥さんや旦那さん、あるいはお子さんに「肩を揉んでもらった」という人も多いのではないでしょうか? 【図表】疲れを感じたらファシアを伸ばそう しかし、「こった部位を叩いたり、揉んだりすればよい」と思い込んでいるとしたら、それは間違いです。肩や首のこりについて、「筋肉内部の血流が滞り、乳酸などの疲労物質がたまって筋肉がこったり、発痛物質が増えて痛みを感じたりする」といった説明を、皆さんも聞いたことがあるでしょう。血行をよくして、疲労物質を排出すれば、こりに効くのも間違いではありません。 軽い肩こりの場合、肩を叩いたり、揉んだり、あるいは磁気治療器を使ったりして肩の血行をよくすれば、肩こりが軽快するケースもあります。ただし、それだけで、こりや痛みが解消するケースはまれなのです。 こりが取れないからと無理して肩を叩いたり揉んだりすると、炎症が起こる場合もあり、逆効果になってしまう可能性があるので注意しましょう。 例えば、縮むことで働く筋肉がこった状態の場合、叩いたり、揉んだりするよりも、筋肉を伸ばしてあげたほうがいいわけです。 「こりに効く」とされる鎮痛消炎薬や湿布でも残念ながら、肩や首のこりを根治させることはできません。こりや痛みといった症状を除くだけの「対症療法」なので、有効成分が効かなくなれば、症状がぶり返してしまいます。そこで、肩や首のこりがなぜ起こるのか、どうすればきちんと治せるのかを説明しましょう。 ポイントは、肩や首のこりの原因が疲労物質だけではないということ。大きな原因として最近、注目されているのが、「ファシア」という皮下にある網目状の結合組織。ファシアの硬化や変形が、肩や首のこりの大半に関係しているとも推察されています。 ファシアと言っても、「耳慣れない」という人が多いでしょう。一方で、「筋膜」という名前は、聞いたことがあるのではないでしょうか? 例えば、鶏肉の周りの薄い膜も筋膜。実は、ファシアとは、筋肉や内臓をベールのように包んでいる組織の総称で、その中に筋膜も含まれます。筋肉は通常、骨の関節と関節をつなぐ組織で、全身にそれぞれ独立して存在しています。一方で、ファシアは「ボディスーツ」とも呼ばれるように、主に6つのラインに分かれて、全身のさまざまな筋肉を横断的に覆っています。縦横斜めに自在に伸縮し、筋肉と筋肉がうまく働けるように調整していると考えられています。例えば、足先と頭のファシアが連係して、体を動かすといったケースもあるわけです。 ファシアの概念は2001年、米国のトーマス・マイヤース氏が著書で提唱して世界的に注目されました。実は、ファシアは経絡やツボとも関わりが深いようです。例えば、足のツボを刺激すると、肩こりに効いたりするのは、ファシアが反応している可能性があります。それに、マイヤース氏は、ファシアをほぐすのに、「ヨガのポーズ」も取り入れています。古来の東洋医学のエビデンスが、ファシアによって明らかになったとも言えるでしょう。