徳島、福岡が決めたJ1昇格争いにあった壮絶ドラマ…長崎に突きつけられた残酷な結末
過去の昇格ラインから算出した勝ち点81を目標に掲げながら序盤戦は黒星が先行し、一時は16位にあえいだ。試合内容に結果が伴わない上に、キャプテンのMF前寛之が新型コロナウイルスに感染。7試合にわたって欠場を余儀なくされた8月が終わるとともに、鮮やかなV字回復を遂げる。 ターニングポイントを問われた指揮官は、試合終了間際にFWファンマ・デルガドが起死回生のゴールを決めて、敵地で千葉と2-2で引き分けた9月2日の一戦をあげた。続くレノファ山口戦から前が復帰し、クラブ新記録となる怒涛の12連勝をマーク。瞬く間に昇格争いに加わってきた。 実に14回を数えた1-0の勝利は目指している形ではない。リーグ最少失点の堅守をベースに複数得点を掲げてきたなかで、京都サンガF.C.との前節に続いて2-0で勝利。3試合連発でゴール数をチーム最多の11に伸ばした、川崎フロンターレから期限付き移籍中の21歳、遠野も思わず感極まった。 「ここに(移籍して)来て、本当によかったと思いました」 41試合で29人もの選手がピッチに立ち、そのうち17人がゴールを記録してきた戦いの末に、1試合を残して目標だった勝ち点81を達成。昇格を成就させた長谷部監督は一体感を強調した。 「目標へ向かって同じベクトルで足並みをそろえて、福岡がひとつになれたと思っています」 徳島と福岡とは対照的に、長崎の選手たちは悔し涙が止まらなかった。福岡がリードを奪っている以上は、勝てなかった時点で3年ぶりとなるJ1昇格への扉は閉ざされる。ホームのトランスコスモススタジアム長崎に、4位の甲府を迎えた一戦は前半24分に幸先よく先制するも、後半22分にセットプレーから同点とされる。その後の試合展開を手倉森誠監督が悔やんだ。 「失点した後にちょっと慌てさせられた攻撃になり、精度を欠いてしまったことがもったいなかった。昇格をかけた中2日での戦いで、勢いというものが少しガス欠になった。いまは素直に受け入れられない気持ちですけど、終盤戦でいい位置にいさせられなかったことを自分のなかで反省しています」