なぜ川崎Fは記録尽くしの独走Vを果たせたのか?
時間を稼ぐことなど誰一人として考えていない。4点をリードしていても、4分が表示された後半アディショナルタイム突入が目前に迫っても、川崎フロンターレはゴールを奪いにいった。 右タッチライン際でボールを収めたFW小林悠が敵陣に入ったところで、前方へ走り込むFW旗手怜央へパスを通す。ペナルティーエリア内へ侵入した旗手は迷わず右足を一閃。ガンバ大阪のGK東口順昭にセーブされたシュートのこぼれ球を、詰めていたFW齋藤学が押し込んだ。 ホームの等々力陸上競技場で25日に行われた明治安田生命J1リーグ第29節。最強の攻撃力を最後までフル稼働させ、2位のガンバを5-0と一蹴したフロンターレの鬼木達監督が、史上最速となる4試合を残しての優勝決定に「いろいろな意味で特別なシーズンでした」と声を弾ませた。 「こういう形で独走しての優勝は、これから先はなかなか難しいだろうと思われるなかで、選手たちを信じて戦えばできないことはないんだな、と。選手たちの成長を感じているし、昨日のトレーニングから『今日はやってくれるんじゃないか』という雰囲気もあった。今シーズンこだわってきたゴールというものを最後の最後まで、ぶれることなく求めてくれた選手たちに本当に感謝しています」 2シーズンぶり3度目の優勝に王手をかけて臨んだ、前節の大分トリニータ戦で今シーズン3つ目の黒星を喫した。仕切り直しとなるガンバとの直接対決へ。鬼木監督はリーグ戦30試合目で実に24通り目となる先発メンバーを選び、ホームでの戴冠を期して送り出した。 トリニータ戦で一発退場となったキャプテンのDF谷口彰悟が出場停止となった関係で、最終ラインの顔ぶれが右から山根視来、ジェジエウ、車屋紳太郎、登里享平と初めてのユニットとなったのは理解できる。驚かされるのは逆三角形型となる中盤もアンカーの守田英正、インサイドハーフの田中碧および大島僚太と、シーズン大詰めになって初めて組み合わせるトリオを選んだ点だ。