『コナン』『フリーレン』…小学館マンガ部門の取り組み
昨年10月、社内に「コナンルーム」開設
小学館にとって春は大事な季節だ。3月に『ドラえもん』、4月に『名探偵コナン』の劇場アニメが公開され、関連書籍が数多く出版される。特に『名探偵コナン』は『週刊少年サンデー』を中心に、スピンオフ作品も含めてたくさんの関連書籍がある。このところの『葬送のフリーレン』などの大ヒットも含めて、第二コミック局の縄田正樹チーフプロデューサーに聞いた。 「『名探偵コナン』は映画公開の4月が1年で一番大事な時期と言えます。今年は連載開始30周年ということで、1月12日から2月25日まで池袋で原画展を開催して、延べ10万人以上のお客様に見ていただいたりしています。4月へ向けてコミックの部署はもちろんですが、それ以外の部署からもいろいろな関連企画が出ています。映画公開の4月12日へ向けて、コミックス105巻も4月10日に刊行されます。 昨年10月には社内に『コナンルーム』ができました。これまで『ドラえもん』については、『ドラえもんルーム』があったのですが、『コナン』についてもそういうものができたということですね。
『葬送のフリーレン』と『薬屋のひとりごと』は昨年秋のアニメ化でかなり重版がかかっています。特に『葬送のフリーレン』はコミックスの売り上げが『名探偵コナン』に拮抗するところまできています。最近は、通常のコミックスのほかに特装版といって、カレンダーやバッジなどの付録をつけたものを出しており、それを含めるとかなりの売り上げになります。 『薬屋のひとりごと』はデジタル版の売れ行きが非常に良いですね。もちろん紙のコミックスも重版がかかっていますが、アニメ化によってデジタルが非常に伸びています。女性ファンが多いといった事情も関係しているのかもしれません。 同じ『サンデーGX』連載の『ゾン100』も昨年、ネットフリックスで実写化、テレビでアニメ化され、よく売れています。いわゆるゾンビものですが、アメリカでも反応が良いと聞いています。 アニメの影響といえば、昨年と今年、高橋留美子先生の『うる星やつら』がフジテレビで放送されて、視聴率も良く、原作のデジタル版がよく売れています」 同じ第二コミック局から出ている『コロコロコミック』の現状はどうか。小学生が中心読者のこの雑誌はまだ紙が強い。「ベイブレード」などの玩具のブームが追い風になるのも特徴だ。 「ベイブレードはここへきて玩具の人気がまた一段上がっているようです。昨年夏に新シリーズが発売され、秋にはアニメの放送もあって、今年の春から子どもたちの間で改めて流行が拡大しつつあります。その影響かどうかわかりませんが、『コロコロコミック』の実売部数は、昨年の後半からじりじりと伸びています」(縄田チーフプロデューサー) 「コロコロチャンネル」というYouTube配信も伸びているという。 「YouTubeは5年ぐらいやっているんですが、去年ぐらいからまた一段伸びています。『ブラックチャンネル』とか幾つかチャンネルを持っていますが、全体としてユーザーが増え、タイアップ広告なども増えています」(同) 昨年3月には、独自に開発した任天堂スイッチゲームソフト『カブトクワガタ』を発売した。第2弾の企画も進められているという。 第二コミック局では『サンデーうぇぶり』というマンガアプリを運営している。 アニメやドラマが当たると、すぐに購入できるデジタルコミックに跳ね返ることが多いのだが、『葬送のフリーレン』『薬屋のひとりごと』の大ヒットで『サンデーうぇぶり』も大きく伸びたという。