「ISS全力で使う」大西さん意気込み 日本人3人目の船長就任も決定
来年2月にも国際宇宙ステーション(ISS)の長期滞在を始める宇宙飛行士の大西卓哉さん(48)がサイエンスポータルの取材に応じ、「ISSというユニークな実験環境を全力で使いたい」と意気込みを語った。2016年以来、自身2度目の飛行となる。また宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2日、大西さんが滞在の後半にISS船長を務めると発表した。日本人船長は3人目。旅客機パイロットの経験で培ったチームワークの手腕に期待が高まる。
「縁の下の力持ち」リーダー像
大西さんは米スペースX社の宇宙船「クルードラゴン」10号機で、米露の3人と共に出発。ISSに約半年にわたり滞在し、科学実験などを進める。ISS第72、73次長期滞在に参加し、73次の滞在中にISS船長を務める。船長は現場責任者として飛行士を統括し、船内の状況や活動を把握して地上の管制と調整を進め、計画の遂行を目指す。飛行士の健康状態を把握するほか、火災や空気漏出などの緊急時には現場の指揮を執るなど重責を負う。
2014年の若田光一さん(61)、21年の星出彰彦さん(55)に続き日本人3人目の船長となる大西さんは、JAXAを通じ「私は先頭に立ってグイグイと引っ張るのではなく、メンバーにのびのびと動いてもらって、自分は縁の下の力持ちとして全体を支えるタイプのリーダーだと思っている。自分なりのスタイルで、精いっぱい職務に当たりたい」とのコメントを発表した。
滞在期間中、JAXAは日本実験棟「きぼう」を活用し、無重力での固体材料の燃焼の評価法を開発するための実験▽無重力でのがん治療薬の効果を調べるハエを使った実験▽惑星ができた過程を理解するため、コンドリュールと呼ばれる微粒子ができる過程を炉の中で再現する実験▽二酸化炭素除去システムの実証▽超小型衛星の宇宙空間への放出▽細胞が重力を感知する仕組みの解明を目指す実験▽シリコンゲルマニウムの高品質な結晶を作る実験――などを計画。大半を大西さんが担当するとみられる。