日銀・黒田総裁会見9月17日(全文1)三本の矢は大きな成果もたらした
共同声明には見直すべき点がないのか
日本経済新聞:日本経済新聞の斉藤と申します。よろしくお願いいたします。大きく2点あるんですけれども、1つが先ほども触れておられましたが、アベノミクスについてですね。総括といいますか、成果もありましたし、一方で課題というものもあったかと思います。そちらについて、黒田総裁が成果と課題についてどのように今振り返ってお考えになっているかということを教えてください。その上で、その課題なども踏まえて、新政権にどういったことを期待しているかということもお聞かせください。これが1点目です。 2つ目が、政府との協調関係を続けていくということをおっしゃっていたかと思うんですけれども、共同声明について、これももう7年半ほど前につくられたというもので、これが色あせていないのか、これを引き続き堅持されていくのか、見直すべき点がないのかというところについても、総裁のお考えをお聞かせください。よろしくお願いいたします。 黒田:先ほど申し上げたとおり、いわゆるアベノミクスというのは3本の矢というか、3つの要素から成り立っているわけでありまして、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略というものでありまして、こうした3本の矢を通じて、具体的には雇用が大幅に改善したと。失業が減ったというだけでなく、就業者数が非常に大きく増加しております。また、1998年から2013年まで基本的にデフレというか、持続的な物価下落が続いていたわけですけども、そうしたデフレという状況ではなくなったということもございます。
共同声明は大きな役割を果たしてきた
また、先ほど申し上げたように、企業収益が改善する下で、さまざまな新しい投資が民間企業によって、これはもちろん民間企業の自主的な努力によるものでもありますけれども、そういうものが行われたと。それをまた、いわゆる成長戦略という形で、政府がサポートしていったということでありまして、全体として大きな成果を挙げたというふうに考えております。 ただ、私どもの物価の安定、具体的には2%の物価安定目標の達成という面では、残念ながらまだ実現していないということでありますので、引き続きこの点については努力していく必要があるというふうに私どもは考えております。 共同声明につきましては、これも先ほど来申し上げているとおり、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のために、政府と日本銀行がそれぞれの役割をしっかり果たしながら連携してマクロ政策の運営に当たるということを示したものでありまして、この間、政府と日本銀行は共同声明に沿って必要な政策を実施してきておりまして、これがわが国の経済を支える上で大きな役割を果たしてきたというふうに考えております。 いずれにいたしましても、日本銀行としては引き続きこうした考え方に沿って、適切な金融政策運営を行っていきたいと考えておりまして、日本銀行が2%の物価安定の目標の実現を目指しているということは一切変わりありません。 【書き起こし】日銀・黒田総裁会見9月17日 全文2へ続く