日銀・黒田総裁会見9月17日(全文1)三本の矢は大きな成果もたらした
緩和的な金融環境を維持し、実現してきた
この間、政府と日本銀行はそれぞれの役割の下で連携しながら取り組んでまいりました。2013年1月には政府と日本銀行は共同声明を公表しております。その下で日本銀行は量的・質的金融緩和を導入して以降、一貫して強力な金融緩和を推進し、緩和的な金融環境を維持し、実現してまいりました。また政府による機動的な財政政策は累次にわたる経済対策などを通じて効果的に需要を創出してきたと考えております。また、成長戦略についても労働参加の高まりなど、成果を上げてまいりました。 今年に入ってからは新型コロナウイルス感染症という大きなショックが加わっておりますけども、こうした経済政策はわが国の経済、金融を支える役割を果たしてきていると考えております。昨日菅新総理がご就任されたわけですけれども、日本銀行としては引き続き現在の金融政策運営の下で日本経済をしっかりと支えてまいりたいと考えております。もとより当面の、最も重要な課題は新型コロナウイルス感染症の影響への対応でありまして、日本銀行としては強力な金融緩和措置により企業などの資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めてまいります。 また、そうしたことを通じて経済を下支えし、日本銀行の使命である2%の物価安定の目標の実現を目指していく方針でございます。そうしたマクロ経済政策運営に当たっては、日本銀行法にも明確に定められているとおり、政府と中央銀行が十分な意思疎通を図る必要があります。日本銀行としては引き続き政府としっかりと連携しながら政策運営を行ってまいりたいというふうに考えております。以上です。 毎日新聞:幹事社からは以上です。各社さんお願いします。
企業存続のため、追加の金融緩和は考えられるか
読売新聞:読売新聞の【トダ 00:14:34】です。2点お伺いします。1点目は菅総理は自民党総裁選の出馬の会見で、今の状況で雇用を守り、企業を存続させるためには必要であればしっかり金融政策をさらに進めるという発言をされているんですけれども、基本的には日銀は物価2%を目指して強力な金融緩和を行っていると思うんですけれども、雇用企業を守るために追加の緩和をするということは考えられるんでしょうかというのが1点と。もう1点がコロナからの景気回復がなかなか進まない、ペースが遅い中で、政府が第3次補正を組む可能性が取り沙汰されてますけれども、その際日銀はやはり呼応して何かしら一緒に対策をするっていうことは考えていらっしゃるのでしょうか。この2点お願いします。 黒田:もちろん日本銀行は2%の物価安定目標を実現すべく、これまでも金融緩和を続けてまいりましたし、この新型コロナウイルス感染症による影響の下でも、企業の資金繰り等の支援や、金融資本市場の安定を図りつつ、物価安定目標2%の実現に向けて引き続き努力をしておるわけであります。 もとよりこの物価2%の目標というものも、日本銀行法自体が物価の安定を通じて、具体的に言いますと、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」というふうに定められておりまして、第一義的な目標はもちろん物価の安定でありますけれども、雇用の状況を含めて、国民経済が健全に発展するような状況を目指すということはもちろん当然であります。 従いまして、日本銀行として2%の物価安定の目標を定めた上で、企業収益あるいは雇用賃金の増加とともに、物価上昇率が緩やかに高まっていくという好循環をつくりだして、経済の持続的な成長を実現していくことが重要であると考えておりますので、当然、そういった観点から必要に応じて追加的な緩和措置も十分検討しうるというふうに思っております。 それから、第3次補正うんぬんというのは、これは財政政策につきましては、政府、国会の所管であって、私から具体的なコメントをする立場にはございませんが、いずれにいたしましても先ほど申し上げたように、日本銀行は金融政策を行う上で当然政府の経済政策全体との関係を十分考慮しつつ、意思の疎通を図って協調して経済政策を進めてきてるわけでありまして、そういう観点から引き続き政府と連携しつつ適切な金融政策を遂行してまいりたいと。 共同声明にもうたわれていますように、まさに政府と日本銀行のそれぞれの役割分担とか役割を認識しつつ協調して政策を進めていくという考え方に変わりはありません。