日銀・黒田総裁会見9月17日(全文1)三本の矢は大きな成果もたらした
新型コロナウイルス感染症の影響を注視
日本銀行は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続します。マネタリーベースについては、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続します。また、引き続き新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムや、国債買い入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、ETFおよびJ-REITの積極的な買い入れにより、企業等の資金繰り支援と、金融市場の安定維持に努めていきます。 その上で当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じます。政策金利については、現在の長短金利の水準、またはそれを下回る水準で推移することを推定しています。以上です。
7年8カ月の歩みをどう見ているのか
毎日新聞:ありがとうございます。まず幹事社から大きく2問質問をいたします。1問目ですが、今新型コロナ感染拡大にともなう日銀の措置の効果について、ご見解をお聞かせください。続いて2問目ですが、昨日自民党の菅義偉氏が首相に指名され新政権が発足しました。黒田総裁は2013年3月の就任当初から大胆な金融緩和を経済政策の第一の柱に掲げる安倍政権と歩調を合わせて政策運営に当たってきました。この7年8カ月を振り返り、政府と日銀の連携や金融緩和の歩みをどうご覧になっていますか。また菅政権に変わりましたが、今後の金融政策運営についての姿勢をお聞かせください、お願いします。 黒田:まず日本銀行は感染症への対応として資金繰り支援特別プログラム、国債買い入れやドルオペなどによる円貨・外貨の潤沢な供給。ETF等の積極的買い入れの3つの柱で強力な金融緩和を実施しております。こうした対応は政府の施策や金融機関の積極的な取り組みとも相まって効果を発揮していると考えます。 内外の金融市場はなお神経質な状況にありますが、ひと頃の緊張は緩和しております。企業等の資金繰りには厳しさが見られておりますけれども、外部資金の調達環境は緩和的な状態が維持されております。また金融機関の貸し出し態度は緩和的であり、CP、社債の発行環境も一時的に拡大していた発行スプレッドが縮小するなど極めて良好であります。 こうした下で、銀行貸し出し残高の前年比伸び率は3カ月連続で6%台となっており、CP、社債の発行残高も前年比10%を超える高い伸びが続いています。日本銀行としては引き続き効果を発揮している現在の措置をしっかりと実施していくことで企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めてまいる所存であります。 次に、2番目のご質問でありますけれども、まず最初に、安倍前総理がさまざまな分野で大変大きな功績を上げられたということに敬意を表するとともに、今後は健康に留意して、引き続きご活躍されることを祈念しております。安倍政権の経済政策、いわゆるアベノミクスにおける三本の矢である大胆な金融緩和、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略。これは日本経済が物価安定の下で持続的な成長を実現していく上で大きな成果をもたらしたと考えております。