体の「力み」が取れれば疲れ知らず? 簡単に体のケアができる“脱力”の効果
せっかくの休日なのに、何もせずに終わってしまった。いくら寝ても慢性的な疲れが抜けない...。こんなときは、頭で考えるのではなく、体に目を向けるほうが有効です。忙しくて時間がないときにこそ取り入れたい、体にフォーカスした心身のほぐし方を鍼灸師の大沼竜也氏が紹介します。 【イラストでわかる】疲れ知らずの体を作るひねり運動 ※本稿は、大沼竜也著『心と体のコリをほぐすセルフリセット』(大和出版)から一部抜粋・編集したものです。
一生懸命になればなるほど体は「固く」なる
集中していると、気がついたときにはすでに全身がガチガチ。深くゆっくり呼吸をしようと誓ったのに、集中していたら息が止まっていた。姿勢を意識していたはずが、集中しているうちに背中がまあるくなっていた、なんてことはよくあると思います。 こうした「集中」に伴う緊張の問題は、仕事や家事に一生懸命な人ほど強くある傾向です。 できるだけよい成果が出るように、「頑張る」ほどに自分が削られていく――。自己犠牲にも似たこの感覚は、これまで植え付けられた「頑張る」への認識が偏っているために起きる問題かもしれません。 「頑張る」とは、「頑(かたく)なに張(は)る」と書きます。つまり、「固くなる」といっているのと同じようなものです。固くなると、動きは止まり、代謝が落ちます。つまり疲れます。 自分から固くなろうとして仕事に取り組んでいるのでは、それは疲れるし、仕事のパフォーマンスも落ちてしまうでしょう。この疲労感が「やった感」として認識されやすいことも、一生懸命になればなるほど「固くなる」原因かもしれません。 おかしな話ですが、体を緊張させるように指令を出しているのも、自分の脳です。よせばいいのに、自分で指令を出しているので、その分脳の労力は使われています。自ら脳の仕事量を増やしているために、固くなった体に支えられた脳のパフォーマンスは、自由度が低くスタミナもありません。
正しい首のポジションを知れば、脱力して集中できる
一方、「脱力して集中」したときの脳のパフォーマンスは、存分にその作業に労力を使えるので、疲れが溜まりにくく、柔軟で、スタミナもあります。実際に、脱力した状態でパソコン作業ができるようになり、万年の頭痛や肩コリが軽くなって、集中力が増したというクライアントを数多く見てきました。 「固くなりながら頑張る姿」は、同じように固くなって苦しい思いをしながら頑張る人には察知しやすいのかもしれません。「固くなりながらきちっとしたほうがよい」という価値観を持つ人が多いせいか、緊張を伴う頑張りは他人から見えやすく、つまり褒めやすいのです。 頑張り屋さんの皆さんには、そうした価値観からは一線を置いて、ここで新しい頑張り方を知ってほしいと思います。 では、どうすればよいかというと、脱力して「ゾーン」に入るような意識を持つことです。 首をくねくねと左右にやさしくくねらせて、首の中心を通る線をイメージし、首の重みを感じます。ちょうど魚が泳ぐようにくねらせて、頭が首の上で「やじろべえ」のようなバランスで乗るイメージです。 力が抜ければ抜けるほど、重力を感じやすくなります。重みを感じながら、最も気持ちのいいポイント、動かし方を見つけます。そこがあなたの首の正しいポジションです。そのまま仕事に向かいましょう。正しくできているかどうかは「気持ちよく力が抜けているか」でわかります。