体の「力み」が取れれば疲れ知らず? 簡単に体のケアができる“脱力”の効果
「力み」は体にとって燃費が悪い
セルフケアやリフレッシュ法など、いろいろなやり方がメディアに溢れています。試しにやってみると、効果がある。でも、なかなか続けられない。 これって、実はあなたにやる気がないとか、続ける根性がない、とかではありません。「毎日○分○回、必ずやるんだ!」と思うだけでも精神には負担になります。それが乗り越えられる状況であればよいですが、大半はその余裕はありません。だから続けられない、続けないのです。 そんなあなたにお伝えしたいのが、「ながらケア」です。 仕事や家事、散歩中でもお風呂でも、トイレでも寝るときでも、全ての行動において、「だらー」と体が溶けていくような感覚を持ってみましょう。だらーっとした感覚があるとき、あなたの体は脱力しています。垂れているような、心地よい重みを感じられる状態が理想です。 私たちは、起きているときも寝ているときも、四六時中「重力」がかかった状態で生きています。全身が力んでいる状態は、重力に逆らってエネルギーを浪費しているようなもので、とにかく体にとって燃費が悪い。 ちょっと動いただけで疲れる、何もしていないのに疲れる、というのは、こうした力みが大きな原因なのです。 つまり、重力とうまく付き合うことができれば、セルフケアの時間をわざわざとらずとも、日常が私たちを癒してくれます。
体の重みを感じて脱力するだけの「ながらケア」
まずは家で、誰にも見られていないタイミングでやってみましょう。 皿洗い中に、魚のようにくねくねと体を動かしながら、緊張している部分を探します。緊張している部分があると、スムーズにくねくねできません。ぎこちない動きになっている部分を見つけたら、だらーんと力を抜いていきます。 トイレでスマホを触っているときも、首や肩が緊張していないかモゾモゾ動かしてだらーっと力を抜く。パソコンの作業をする前に、手をぷらぷらとゆすって、だらっとした感覚のままタイピングする。 日常動作の中で四六時中この感覚を掴めるようになれば、あらゆることが上手に、かつはやく、疲れも溜まらずこなせるようになります。 さらにこなれてくると、その動作自体が楽しく、ストレスなくこなせる感覚が味わえるはずです。根付いてくればこっちのもので、今度は力みに対して敏感になってきます。「ちょっと力んできたな」とすぐ気がつくことができて、力を抜かないと気持ちが悪くて仕方なくなるでしょう。 ここまでくれば、ノルマを定めなくとも、努力感はゼロでセルフケアができていることになります。 セルフケアを考えるとき、私が最も重要にしているのが「ラク」であることです。しんどさや難しさは最小限にとどめて、かつ効果は最大限引き出せるものをお伝えしています。 だって、くたくたに疲れている状態だからこそ悩みがあるのに、そこに加えてしんどい思いをしながらセルフケアに取り組むのは、少々無理があると思いませんか? 大切なのは、生活にストレッチやサプリを「加える」だけではなく、今すでにある力みの種を減らしていくことです。この営みに確かな手応え(ここでは気持ちよさ)を感じることができれば、日々自分がよくなっていく実感を掴めるようになるはずです。
大沼竜也(鍼灸師)